【更新中】災害救護活動記~令和6年能登半島地震~

1月21日(日)

医師1名、看護師長1名、看護師2名、薬剤師1名、主事2名、災害対策本部要員2名の計9名で構成された”京都府支部第4救護班”が石川県の輪島に向け出発しました!

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【上段左より】
若槻主事・田中看護師・瀬下薬剤師・桐山看護師
【下段左より】
松田災害対策本部要員・松原医師・井関主事・山本看護師長 
【カメラ】
羽鳥災害対策本部要員

今回で京都からは4班目となる救護班で、第1班同様、舞鶴赤十字病院の医師・看護師長・看護師・主事、京都第二赤十字病院の薬剤師、京都府支部の災害対策本部要員の混合チームです。

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京都府支部からは、今年度採用された新人職員も出動しました!
出発前には「初めての経験で知らないことも多い中、とにかく自分が足手まといになってしまわないか、なにができるのかと不安な気持ちでいっぱいだが、今の自分にできることを一生懸命してきたい」と語ってくれました。

【画像左:総務課1年目 羽鳥災害対策本部要員】

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12月に行われた救護班要員基礎研修会では、無線の使い方や記録の書き方など救護班要員としての基礎を学んだばかりで、改めて日頃の訓練の重要性を痛感したそうです。
実は、同研修には今回同じチームで活動する舞鶴赤十字病院のメンバーも参加しており、一緒にグループワークも経験しておりました!

【令和5年度日本赤十字社京都府支部救護班要員基礎研修会】
(画像左:羽鳥災害対策本部要員)
(画像手前:井関主事)

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1日目である今日は、まず金沢市内にある日本赤十字社石川県支部を目指し、そこで行われるブリーフィングで現在の輪島の様子や活動の留意点、求められるニーズなどについて情報共有しました。

【石川県支部でのブリーフィングの様子】

石川県支部に在駐していた精神科の医師の話によると、現場では「こころのケア」のニーズがますます高まっており、被災者の方や救護活動にあたる職員の精神面が心配であるが、こころのケア要員だけでの活動が難しい地域も多く、思ったように活動が進められないとのお話がありました。
京都府支部第4救護班の看護師長・看護師・調整員の計5名も日赤のこころのケア要員となっており、今回こうした面での活動も期待されています。

明日からはいよいよ輪島での活動が始まります。
班員一丸となって救護活動に励んでまいります。

1月22日(月)

いよいよ輪島での活動1日目となる“京都府支部第4救護班“(医師1名、看護師長1名、看護師2名、薬剤師1名、主事2名、災害対策本部要員2名の計9名)。
本日は、避難所になっている大屋小学校で救護所対応や避難所アセスメントを行います!

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【大屋小学校での災害支援ナースとの打ち合わせ】
(避難所に在駐し、夜間の救護所対応、日中の避難者への支援等を担ってくださっています。)

避難所のリーダーやボランティアの方々と打ち合わせをしつつ、体調が悪い方の診察や感染症への対応をしていきます。
避難所の運営は現地の有志の方々により行われており、こうした方々が避難所の全体を把握し必要な支援の情報をくださることで、救護班の活動を行うことができます。

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【救護所の環境整備を行う井関主事(舞鶴赤十字病院)】

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救護班の中には薬剤師も帯同しており、お薬も処方することができます!
被災者の方の中には、普段飲んでいるお薬がある方、被災後にお薬を処方されている方もおられます。

そんな時役に立つのが「お薬手帳」です。

普段診察時や薬局に行く際にお持ちになる方も多いと思いますが、実は災害時にも、日頃の内服情報が、お薬手帳を持っていることでとても役に立ちます。

【服薬指導を行う瀬下薬剤師(京都第二赤十字病院)】

薬剤師は訪れた被災者の方とお話をしながらしっかりとヒアリングを行うとともに、お薬手帳からこれまでの処方を確認します。
災害時でも、処方したお薬を薬剤師が手書きでお薬手帳に記載しておくことで、次回の診察時に別の薬剤師がその処方を確認できるようにするそうです。
本日訪れた被災者の方も同様で、「お薬手帳をもってきておいてよかった、とても助かったわ。」と安心した表情を浮かべておられました。


【おわりに】
避難所の状況も日々変わりつつあり、救護班の活動もそれによって変動してきます。
明日は雪が降るとの予報ですが、以前と比べると市内の道も段差が埋められていたりとかなり通りやすくなっていて驚きました。
道路を整備してくださる方、水道管を直してくださっている方など、多くの方に支えられて私たちの活動が成り立っているということを強く感じました。

明日は、輪島市内の避難所の巡回診療を行います。

1月23日(火)

“京都府支部第4救護班“(医師1名、看護師長1名、看護師2名、薬剤師1名、主事2名、災害対策本部要員2名の計9名)の活動2日目は、避難所の巡回診療です!輪島市内の山間部の避難所を中心に、5箇所を巡回します。
本日は、DMAT助産師の笹岡さんが一緒に巡回をしながら、ダンボールベットの紹介などを行います。

画像 【一緒に活動するDMAT助産師の笹岡さん】

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昨夜より少しずつ雪が降り積もり、山間部は積雪の多い場所もあるようです。未だ瓦礫や土砂崩れにより通行止めになっている場所もあるため、細心の注意を払いながら巡回していきます。

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【本日の運転手:
井関主事(舞鶴赤十字病院)・松田災害対策本部要員(京都府支部)】

避難所では主に避難所アセスメントや体調の悪い方の診察、ダンボールベットの紹介などを行います。
まずは、避難所アセスメント(現地調査)です。避難所の生活状況を確認し、医療ニーズの把握だけでなく、避難所での健康を維持するためのアドバイスをします。

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避難所の代表の方や避難しておられる方のお話をしっかりとお聞きして得た情報を、関係各所と共有することで、被災地に必要な医療支援を届けることのできるよう調整します。現地の医療が少しずつ復旧したりと今後は徐々に避難所の医療ニーズも減少していきますが、避難所アセスメントを継続的に行うことは、そうした「医療ニーズの減少」という大切な情報も把握することができ、必要な支援を必要な場所にお届けするという意味で非常に重要な活動です。

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山間部では、金沢に二次避難をされている方や遠くに住む家族のもとに避難されている方も多い一方で、地元に残り避難生活を続けておられる方も多くおられました。皆さん近所の方同士で助け合いながら避難所で過ごされています。ある集会所の代表の方は、「この地区は狭いところでみんな家族みたいなもんだから、なんだかんだ言いながらも助け合いながら乗り越えてるんだ」と教えてくださいました。
続く避難所生活に疲れが出ている方も多い中で、巡回診療に訪れた救護班に「気にかけてくれてありがとう、また来てな」と温かい言葉をかけてくださいました。

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また、この頃は感染症も流行しており、巡回診療でも喉の痛みを訴える避難者の方に感染症の検査を行う場面もありました。

訪れた避難所では、車中泊をされておられ、「病院に行こうか迷っていたので本当に助かった」と感謝の言葉をいただきました。避難所では限られたスペースに何人もの避難者の方がおられ、このように車中泊で過ごされている方もおられます。だんだんと疲労が溜まる胸の内を教えてくださった方もおり、そうした方に対して我々ができることといえばお話を伺ったり、避難所アセスメントを行ったりと微々たるものではありますが、このように少しでも状況が改善する助けになればと、救護班一同全力で活動に取り組みます。

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【被災者の方の話に耳を傾ける松田災害対策本部要員】

避難所アセスメントや診療を行った後は、体を動かす体操や感染症予防のための手洗い指導です。

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座ったり横になったりという姿勢で長時間過ごす避難所では、「エコノミークラス症候群」などを発生する危険度が高まります。これらを予防するために避難所で過ごされる方々と一緒に足を動かす運動を行いました。

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また、続く断水により広がる感染症の予防のため、わかりやすく絵や写真をお見せしながら、アルコール消毒などを用いた手洗い指導にも力を入れます。

こうして1日の活動を終えた舞鶴救護班。
みんなへとへとになりながらも、本日巡回した避難所について報告しアセスメントを完了すべく、最後の力を振り絞ります。

明日は早くも最後の活動日です。日々色々なことを学び、どんどん自分ができることを探し行動に移す舞鶴救護班。
最終日もそれぞれが自分にできる最大限を探して活動に取り組みます。

【インタビュー】

こころのケア要員でもある山本看護師長にお話を伺いました。

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「続く避難所生活により、被災者の方や支援者の方のこころのケアについても需要が高まってきていると思いますが、何か心がけておられることはありますか?」

被災者の方の気持ちを100%理解するということは絶対にできないし、「私がなんとかしてあげます!!」となるのではなく、声を掛けやすい関係性を築くなど、そういった存在でありたいです。
支援者の方は自分自身も被災者でもある中で、日々自分を後回しにして被災者の方の支援にあたられています。自分でもきっと苦しい部分がなかなか言えないと思います。仕事の話だけでなく、何気ない会話から「あなたのことを見ている人がいる。」と感じてもらえたらと思い声をかけるように心がけています。
看護師として看護にあたるときと一緒で、自分の自己満足や押し売りになってしまわないよう、距離感を大切にしながらも、相手が必要としている時に声をかけることのできる存在でありたいと思っています。

常に冷静にそして暖かく救護班を支えてくださる山本看護師長。避難所でも被災者の方や支援者の方に声を掛けながらも、決して押し付けることなく相手に寄り添いお話を聞く姿が印象的でした。