バングラデシュ、中東など幅広い地域の支援活動を担当。マレーシアにある国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)のアジア大洋州地域事務所に出向し、事業調整官にも従事。
「NHK海外たすけあい」とは?
今年で41回目を迎える、日本赤十字社とNHKが毎年12月に実施する募金キャンペーンです。
皆様からのご寄付は、世界各地で紛争、災害、病気などにより苦しんでいる人びとを支援する活動に役立てられます。
はい。私が赴いた支援の現場では紛争や暴力により避難してきた方への支援として、救援物資の配布や医療技術支援の他、こころのケアもしています。
こころのケアまでしているんですね。現場で一人ひとりに向き合うって、大変なことじゃないですか。
バングラデシュの避難民キャンプには、ミャンマーでの人道危機から逃げてきた100万人近くの方が暮らしています。その中には、両親をなくしてしまった子どもや、先の見えない避難民キャンプ生活で将来の夢や希望を抱きづらくなってしまった方もいます。目に見えない心の傷を負って、夜眠るのが怖いと訴える方も多くいます。
赤十字の研修を受けたボランティアさんたちが行うこころのケア活動は、避難された方が自分たちで困難を乗り越える力を取り戻し、社会的なつながりを持てることも目的としています。
ブロック遊びや裁縫などを通じて同世代の友達を作った子どもたち、安心した空間で誰にも話せなかった悩みを相談できた母親、釣り網づくりを通じて少しずつ活力を取り戻し自分たちのコミュニティのために何ができるのか考える男性たちがいます。
日本にいて、例えば、募金をしたりする時って、国のためにっていう気持ちが強いじゃないですか。「ウクライナに、物を届ける」というような。現地にはそこに住んでいる人がいて、一人ひとりの生活があるんだ、といったことをどこまで考えることができているかな、ということにハッとさせられました。
そうやって現地の人とつながる活動を続けているのですね。
こうした活動が、避難された方の生きる力や希望につながればと思っています。
確かに、私たちもだれかの思いを感じたり、繋がれると安心しますよね。
今、ウクライナも本当に大変な状況になっていて、人道危機が続いていますが、赤十字のみなさんも現地に行かれていますよね?
ニュースでは取り上げられる機会が減ってきましたが、仰るとおりウクライナの危機は続いています。私たちは、職員を派遣して現地のウクライナ赤十字社と直接協議を重ね、日本赤十字社の強みを生かした支援をしています。
今現在、具体的にどういう支援をされているんですか?
緊急時の避難支援や救援物資、現金給付の他、日本赤十字社の強みである保健医療分野を活かしてリハビリ支援や巡回診療を行っています。
巡回診療は避難所や救援物資の配付場所など様々な場所で実施しますが、患者さんはこの日を心待ちにして、診療を始める前から列を作って待ってくれています。「ここから病院は遠くてなかなか行けないので、赤十字が質の高い医療を提供してくれるのは本当にありがたい」と声をかけてくださいます。
また、他の患者さんから「赤十字は紛争地域でも今の避難先でも、どこでも一番最初に駆けつけてくれ、手を差し伸べてくれる」という感謝のお言葉もいただきました。
支援といっても色々な方法があるんですね。
もう存在自体にというか、赤十字という組織自体が心の支えになっているんですね。このマークを見るだけでほっとする方もたくさんいらっしゃると思いますし、そういう現地の方の「思い」を、「思い」で支えていらっしゃるみなさんを心から尊敬します。
今日は住む場所を追われて避難してきた方のお話をしましたが、「NHK海外たすけあい」という募金キャンペーンは、何か起きてから集めるのではなく、毎年12月に皆さまにご協力をいただいて、緊急救援や復興支援、開発協力まで幅広い支援を行っています。たくさんの方に支援して良かったと思っていただけるよう、これからも頑張ります。
私たちも何かしなきゃ何かしなきゃって思うけれど、まずは「思う」ってことを大事にしようと思いました。そして、こういう気づきや意識は、続けていくことが一番大事ですね。正しい知識を得て、それに対して何ができるかを考えて、行動に変えていくというのが大事なんだって。私達にもできることはあるんだなと思いました。
貝淵さんはこれまで中東とか、バングラデシュとか、いろんな国や地域で支援をなさってきたんですよね?