避難所だって快適に!全国初のオリジナル要支援者用段ボールベッドの配備を開始しました

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 さて、パラリンピックという世界の舞台で活躍するスポーツ選手はあまり身近にいませんが、少し周りを見てみると生活に支援が必要な方はたくさんいます。例えば、筋力の弱っている高齢者、歩くのも大変そうな妊婦、車いすを利用している身体障がい者など、体の自由がきかない方もいらっしゃいます。そのような方も、避難所では多くの方と同じ空間で生活されます。

 生活場所は「床」。固く、冷たく、不衛生。ハンディキャップがあるので立ち上がりが困難な方が多いです。トイレの回数を我慢するために水分摂取を減らして脱水症状が出る人や、体勢が変えられず褥瘡ができたり、エコノミークラス症候群を発症する人もいます。

 東日本大震災で災害による直接の被害ではなく亡くなられた「災害関連死」の方は、総死者数の2割を占めます。

 大人だけではありません。乳児はどうでしょうか。床には塵や埃など、目に見えないゴミがたくさんあります。人が歩くたびに舞い上がり、未発達の肺を傷つけます。菌やウイルスにも近く、免疫力の低い乳児の命が心配です。

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 熊本地震や近年の豪雨災害で活動した赤十字の医療救護班。避難所で被災者を診療するなかで、何とかして要支援者が安心できる生活環境を整えられないかと考えました。

 そうだ、“ベッド”だ!

 しかし、どれだけ調べても要支援者用のベッドはありません。

 そうだ、“作ろう”!

 2年の歳月をかけ、ようやく完成したのがこちらです。

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 開発には、被災地で活動した救護班要員、社会福祉施設の徳島赤十字ひのみね総合療育センターの介護職員、徳島赤十字乳児院の保育士などが加わり、現場の声とプロの意見を合わせて完成しました。

 要支援者用は、市販品より大きく安定したサイズで、立ち上がりやすい高さが快適。座位を安定させる背もたれや、立ち上がりに必要な持ち手も完備されているのが特徴です。

 乳児用は、衛生的な床面の高さを確保。転落防止の囲いには、保護者が床で休みながら見守りができるように小窓を付けています。

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 9月6日、県内で最初の配備場所となる松茂町社会福祉協議会で贈呈式を行いました。松茂町は海に近く、南海トラフ巨大地震による津波で被災することが予想されている地区です。

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 贈呈式では、当支部 新居 事務局長が「災害で傷ついた人が避難所生活で疲弊しないよう、ご活用ください」と松茂町社会福祉協議会 櫟田(いちだ)会長と松茂町赤十字奉仕団 合田(ごうだ) 委員長に目録を手渡すと、「ひとりでも多くの命を守り、苦しみが少ない避難所になるよう活用させていただきます」と受け取られました。

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 奉仕団員の皆さんは、避難所開設後に迅速な対応ができるよう設置訓練を実施。

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 「工夫された点が多いが、組み立てやすい構造になっているので簡単だった」と、話されていました。

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 今後は約2年かけて、徳島県内の各地区・分区に合計210セットずつ配備する予定です。皆様の住む地域の避難所にもあるかもしれませんよ。“もしも”が起こる時までに、この段ボールベッドの組み立て訓練を一度試してくださいね。

 地域を守るのは、あなたです。