ジブチ共和国へ出張に行ってきました!~コミュニティ訪問編~

11月7日(金)~11月12日(水)まで、日本赤十字社の気候変動対応事業の現地調査として本社国際部職員2名と青森県支部職員1名と奈良県支部職員1名がジブチ共和国へ出張に行ってきました!
今回は、第2弾としてコミュニティ訪問の様子を報告します。

画像

ジブチは、日本のほぼ四国地方と同じ大きさの国ですが、国土の89%が砂漠や乾燥した荒地です。また、世界で一番暑い国ともいわれており、過去には最高気温71.5℃を記録したこともあります。
そのような環境では、農作物は育たず、食糧不足が引き起ります。しかし、育たないのは農作物だけでなく、家畜も同様です。

そんなジブチを支援しようと令和7年7月から日本赤十字社が3か年で行っている事業が「ジブチ気候変動対応事業(通称:ジブチの森プロジェクト)」。
このプロジェクトは、日赤、国際赤十字・赤新月連盟(以降「連盟」)、ジブチ赤新月社(以降「ジブチ赤」)の3社で、荒地に木を植え農地を増やし、現地の人びとが干ばつや食糧危機などの危機に立ち向かうための支援です。

今回は、実際に農地を行う予定であるディギル州へヒアリング調査を行いました。
ディギル州は、首都であるジブチ市から車を2時間30分ほど南西に走らせた、エチオピアの国境近くにある州です。ディギル州は、地理的にもエチオピアからの難民・避難民も多くいる地域で、私たちは今後、ここで植樹や農業支援を行うため、難民・避難民の約360人が生活している集落を訪問しました。

IMG_2826.JPG難民・避難民の住居

IMG_1053.jpgキッチンの様子

植樹や農地支援をこちらの判断だけで勝手に決めて、実施することはできません。まずは現地の人びとにプロジェクト内容を丁寧に説明し、理解していただくことが不可欠です。また、支援者側が良いと思う支援を押しつけるのではなく、住民が本当に何を求めているのか、どのような意見を持っているのかを聞くことも重要です。
このような活動をCEA(Community Engagement and Accountability)”コミュニティ参画と説明責任”と呼びます。CEAは、住民が「本当に必要とする支援」を実現するための基盤です。
今回は全体へのヒアリング調査のため、まずは活動内容を理解してもらうことが最優先でした。そのため、このプロジェクトの方法や今後の見通しについて、ジブチ赤を中心に説明及びニーズ調査を行いました。

すると、「数年前に農業省と環境省の合同プロジェクトで同じような植林事業を行ったが、その後の支援がなかったため失敗に終わった。同じ繰り返しは行いたくないので農業のスペシャリストを呼んでやり方をしっかりと教えて欲しい。」「以前は家畜を行っていたので農業と家畜の兼業ができると良い。」「家畜を失ってこれからは農業を行いたいと考えているので農業の知識を教えて欲しい。」「住まいの改善をして欲しい。」「子ども用の服が欲しい。」など、様々な意見が出ました。
プロジェクトを円滑に進めるためには、ここに住んでいる住民全員がしっかり内容について理解し、また、支援する側である私たちも住民の方々が必要と感じているニーズを知る必要があります。そのため今後は、”女性だけのグループ”などのコミュニティごとに分けた説明の場を複数回設け、住民の方々との信頼関係を築いていく予定です。

PXL_20251110_081208048.MP.jpg住民たちと意見交換をするジブチ赤職員

IMG_2820.JPG意見を述べる住民たち

ヒアリング調査の後は、村の生活の様子などを見学させていただきました。
難民・避難民の方々が生活している家には水道が引かれていません。そのため、大きな貯水タンクが集落の中心にあり、ここから1日に数回水を出しています。
水が出るタイミングで、各家庭がウォータータンクを持って水を汲み生活用水を確保しているという流れです。
この辺りは一帯が荒野地帯で、年中暑いジブチでは熱中症にもなるためこの貯水タンクがとても重要となっています。
実際に、ヒアリング調査の際にも「家に水を貯めれる環境を作ってほしい」という意見も上がっていました。
プロジェクトでは、貯水タンクの導入などの環境改善も活動内容の1つであるため、日赤はこれからも現地の方の意見を聞き支援を続けていきます!

IMG_1079.jpg水タンク

PXL_20251110_093749278.jpg水を出すために元栓を開けている様子

IMG_1098.jpg水が出てきました!

IMG_2839.JPG荒野が広がっている集落周辺の様子

IMG_1186.jpgディギル州市長とIFRC・ジブチ赤・イタリア赤・日赤職員

第1弾の記事はこちらから