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東日本大震災活動レポート

医療救護活動

原発避難住民の一時帰宅を救護班がサポート

11/07/15

 東京電力福島第一原子力発電所の爆発事故による周辺住民の避難が長期化する中、原発から半径20キロメートルの警戒区域の住民の一時帰宅が行われています。この一時帰宅に際し、日本赤十字社は5月22日から救護班を派遣し、帰宅住民の体調不良などに備えています。日赤が救護を担当しているのは、県内4カ所に設けられた中継基地のうち最も規模の大きい南相馬市馬事公苑。猛暑により体調を崩す帰宅者が続出する中、懸命な救護活動が続けられています。
 「原発事故に対応するため、今回の事故が起きる前から避難者救護の訓練はしていたが、一時帰宅された方の救護は想定外でした。放射線計測器をつけて、緊張に包まれながら活動しています」
 福島県支部事業推進課の岸波庄一課長が語るように、活動現場はものものしい雰囲気。一時帰宅を終えた住民へのスクリーニング(汚染の検査)は、汚染防止のためビニールシートで養生された会場で行われ、住民は防護服を着用したままで検査を受けます。(写真上)

 「猛暑の中、防護服を着ているのは住民の方もつらいようで、救護所を訪れる方の症状のほとんどは、熱中症による軽い吐き気や体調不良です。ハチに刺されたり、作業中にけがをされ、破傷風の危険性があるため診察を受けられる方もいます」
 283世帯514人が一時帰宅した7月10日も福島は真夏日。救護所には多くの熱中症患者が訪れました。医師の一人は、福島での活動に最初は不安もあったと打ち明けます。「でも放射線の安全性についてのレクチャーを受けて安心しました。ほかのスタッフも一生懸命活動に当たっています」
(写真)この日、診察に当たったのは千葉県の成田赤十字病院の救護班

 事故から4カ月が経過した今なお、収束が見えない住民の避難生活。岸波課長(写真下)は「あとどれくらい今のような状況が続くのか分からないのが住民にとって一番つらい。今後、一時帰宅が2回、3回と何度行われても、日赤は救護活動を続けていきたい」と決意を語っています。