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保健・医療サービスの支援

新設「南三陸仮設診療所」、4月2日から診療スタート
3倍スケールアップで急患対応も充実

12/06/07

 「待合スペースがない」「水道が使えない」などの問題を抱えていた宮城県南三陸町唯一の仮設診療所が、半年にわたる建て替え工事を経て機能を拡充しました。床面積は3倍以上になり、救急患者の受け入れに必要な医療機器も整備。平成24年4月2日から新施設で診療を開始し、町内はもちろん、石巻市や気仙沼市など近隣市民の健康も支えています。
 昨年の東日本大震災で、沿岸部にある南三陸町は町内すべての医療機関(1病院、6診療所)を喪失しました。5階床まで波が押し寄せた公立志津川病院が翌4月から、イスラエル医療チームが使用していたプレハブを利用して診療を再開したものの、問題が山積。受付、処置室、薬局などがそれぞれ別のプレハブのため移動の不便があるうえ、それらプレハブの総床面積が約470平方メートルしかなく、診察を待つ人は外にあふれました。水道を引いていないため、トイレも屋外仮設の利用でした。

 待合室で診察を待つおばあちゃんは、「きれいになってよかったです。前は(プレハブだった時)大変だった。特にトイレが一番大変だった」と話していました。
 歯科診療医師 斎藤政二(まさじ)先生のコメント「この仮設病院は、町民の皆さんが肌で感じて本当に喜んでいる。ここで初めて診察した時は涙を流した人もいた。プレハブの時は、園芸用のポンプで加圧した水を診察台につなげて、手元から患者さんの口にシューッと出るようにしていた。排水もジョーロに流れ出るようにしてたまった水をバケツで看護師が捨てに行っていた。今は普通に水道が使えるこの仮設の建物になって、本当に助かっている。」

 3月27日に竣工を迎えた新しい診療所はそうした欠点をすべてカバーしたものです。エレベーター付きの二階建てになり、総床面積は470平方メートルから1600平方メートルに拡大。待合所、事務所スペースも確保され、トイレなどの水回りも万全です。急患にこれまで以上に対応するため、CTスキャンなどの医療機器も拡充しました。将来、志津川病院が再建される日まで、住民の医療を守っていきます。
 今回の建て替え建設費及び医療機器整備費用の約6億円には、日本赤十字社が行う東日本大震災の復興支援活動のため、世界の赤十字社を通じて寄せられた海外救援金が充てられました。