よくあるお問い合わせ

本製剤に関するよくあるお問い合わせについてまとめました。

血小板製剤はすべて細菌スクリーニングが実施されるのですか。

血小板製剤の安全対策として細菌スクリーニングを導入するため、すべての血小板製剤に細菌スクリーニングを実施します。

導入する細菌スクリーニングの方法について教えてください。

イングランドが2011年に導入したLVDSといわれる改良培養法を参考とした細菌スクリーニングを導入します。濃厚血小板製剤は、採血後36時間以上(運用上40時間以上)待機した血小板原料から採取した検体を好気培養ボトル及び嫌気培養ボトルに8mLずつ接種し、各培養ボトルを検査機器で24時間培養することにより、増殖した細菌を検出することとしました。洗浄血小板製剤は、FDAガイダンスを参考として検討し、採血後24時以上待機した血小板原料から採取した検体を好気培養ボトル及び嫌気培養ボトルに8mLずつ接種し、各培養ボトルを検査機器で24時間培養することにより、増殖した細菌を検出することとしました。
[参照:輸血情報2503-186]

なぜ有効期間が採血後6日間に延長されるのですか。

細菌スクリーニングに必要な時間を確保するためです。採血後36時間以降(運用上40時間以降)に培養試験を実施すること、また、培養時間を24時間としたことから、医療機関での使用時間を考慮し、濃厚血小板製剤の有効期間を採血後4日間から採血後6日間に延長することとしました。海外では、有効期間が採血後6日間から採血後8日間が主流です。

いつから新規血小板製剤に切り替わるのですか。

細菌スクリーニングを実施した血小板製剤の供給開始日は、2025年7月30日です。
[参照:細菌スクリーニングを導入した血小板製剤の薬価基準収載及び供給開始等のお知らせ]

細菌スクリーニング導入後、細菌感染はなくなりますか。

重篤症状の原因となり得る細菌は増殖が比較的速く、細菌スクリーニングで除外できるため、輸血による細菌感染の低減が期待されています。ただし、血液製剤に混入した増殖速度の遅い細菌は検出できない可能性があります。
細菌スクリーニング導入後も従前どおり血液製剤の外観確認を行うとともに、輸血中、輸血後の患者さんの観察をお願いします。

導入に伴い血小板製剤の薬価は変わりますか。
細菌スクリーニングの陽性率はどれくらいですか。

本邦における血小板製剤の細菌スクリーニング陽性率については、約0.3%を想定しています。ただし、実際の陽性率は導入後に確認する予定です。なお、海外での陽性率は以下のとおりです。

positive.jpg

洗浄血小板の有効期間がこれまでと同じ採血後4日間なのはなぜですか。

日赤が実施した試験において、採血後4日を超えて洗浄して保存した場合、現行の製品より洗浄血小板製剤としての品質が低下する恐れがあること、また、採血後4日を超えて洗浄した洗浄血小板の国内外の臨床データに関する情報が確認できなかったことから有効期間を延長しないこととしました。

洗浄血小板製剤は濃厚血小板製剤よりも、採血から培養検査までの待機時間が短いですが、安全性に問題はありませんか。

濃厚血小板製剤と洗浄血小板製剤の待機時間は、各々の有効期間に応じてFDAガイダンスを参考に設定しています。洗浄血小板製剤の有効期間は現行の製剤と同じであり、安全性は濃厚血小板製剤と変わらないと考えています。

採血後4日目以降の製剤が納品されますが、有効性及び品質に影響はないですか。

有効期間の延長に伴う血小板の有効性は、海外でもさらに長い有効期間の血小板製剤が使用されており、臨床的に問題ないことが諸外国の文献で報告されています。このことから、採血後4日目以降の製剤の有効性は維持されていると考えています。
また、日赤で実施した血小板製剤の品質を確認する安定性試験や海外の文献を確認すると有効期間を延長しても品質に問題ないことを確認しています。

なお、有効期間を延長した血小板製剤の安定性試験のデータについては試験成績集をご参照ください。

[参照:血小板製剤(照射)の安定性試験成績]

有効期間延長に伴い、副作用(副反応)が増える可能性はありますか。

血小板製剤の保存過程で副作用の原因の一つと考えられる生理活性物質が放出することが知られています。海外の論文では、保存期間と非溶血性輸血副作用の関連について、採血後4日目以降の血小板製剤を使用した場合、保存期間と非溶血性輸血副作用の発生には関連があるとする報告がありますが、一方で、保存期間との関連性はみられなかったとする報告もされています。
これまでと同様、副作用発生については有効期間延長後も引き続き情報収集してまいります。また、副作用が疑われる事例が発生した場合は、最寄りの赤十字血液センターMRにご連絡ください。

有効期間延長しても品質に問題はないですか。

日赤で実施した血小板製剤の品質を確認する安定性試験や海外の文献を確認すると有効期間を延長しても品質に問題ないことを確認しています。
なお、有効期間を延長した血小板製剤の安定性試験のデータにつきまして、試験成績集をご参照ください。

細菌スクリーニング導入後の血小板製剤については、保管中に血小板が凝集しやすいと聞きましたが、どうしてですか。

血小板はその機能から凝集しやすい性質があり、血小板製剤にみられる多くの凝集物は、献血血液の違いや採血後の時間の経過等によるものです。細菌スクリーニング導入により有効期間を延長するため、時間の経過が影響する可能性はあります。

凝集物はどれくらいの大きさでどれくらいの頻度で発生するのでしょうか。

著しい凝集物が認められる血小板製剤については、製造工程において不合格となり、このような製剤は医療機関に供給されません。ただし、出荷基準に合格した微小な凝集物の場合は医療機関に納品されます。その頻度は、これまでの内部試験データから3%程度と想定していますが、これらの血小板製剤については、凝集物がみられても輸血フィルターが詰まることはありません。万が一、輸血フィルターが詰まったり、流速が低下した場合は、最寄りの血液センターにご連絡ください。

輸血フィルターが詰まる可能性がある凝集物の大きさを教えてください。

輸血フィルターが詰まる可能性がある著しい凝集物の血小板製剤の写真を以下に掲載していますので、ご参照ください。

[参照:血小板製剤の外観]

凝集物がある血小板製剤は使用したくないのですが、引き取ってもらえますか。

凝集物があっても、凝集物がない血小板製剤と安全性、品質に差はありませんでので、輸血に使用できます。ただし、輸血フィルターに詰まるほどの著しい凝集物がみられた場合は、不具合(苦情)品として、引き取らせていただきますので、最寄りの血液センターにご連絡ください。

凝集物がみられた場合、血小板製剤の品質に影響はないのでしょうか。

凝集物がみられた血小板製剤について、採血後3日目から6日目までの血小板製剤の品質を試験したところ、凝集物がない血小板製剤と比較して品質に差は認められていません。また、輸血フィルターを通す前後の検討においても、同様の結果が得られています。

輸血中に輸血セットのフィルターが詰まった場合、新たな輸血セットを使用して、もう一つの輸血口から輸血を再開してもいいですか。

新たな輸血セットでも詰まる可能性は否定できません。輸血中に輸血セットのフィルターが詰まった場合は、最寄りの血液センターに連絡してください。

輸血中に輸血セットのフィルターが詰まった場合、点滴筒に見られる凝集物を潰してもよいですか。

凝集物を潰した場合の品質については確認していません。万が一、輸血セットのフィルターが詰まった場合は、最寄りの血液センターにご連絡ください。

血小板製剤用の輸血セットではなく、通常の輸血セットを使用した方が詰まりにくいですか。

通常の輸血セットを使用して検討はしていませんが、構造上、血小板用の輸血セットよりも詰まりにくい可能性があります。ただし、フィルターが詰まる可能性があるものは、特に著しい凝集物の場合であり、それらは製造工程で出荷不適となるため、いずれの輸血セットを使用してもフィルター(メッシュ)が詰まる可能性は低いと考えられます。また、通常の輸血セットの場合は血小板用の輸血セットよりもデッドボリュームが多いことにも注意が必要です。使用にあたっては添付文書に従いご使用ください。