【速報6】ウクライナ危機:日本赤十字社より国際赤十字に7億円の追加資金援助を決定

 ウクライナでの戦闘が激化して3週間 ―― これまでに国内避難民はおよそ670万人、ウクライナから国外へ避難した人びとは316万人以上にのぼり(UNHCR316日時点)、人道危機は深刻さを増しています。国連の予測では、この状態が続くと、少なくとも1800万人(ウクライナの人口の約3分の1)が紛争の影響を受け、今後、人道支援が必要になると危惧されています。

画像 キーウ(キエフ)の地区で砲撃の被害を受けたマンションで、地元の赤十字緊急救援チームが約50人を支援©ウクライナ赤十字社

 日本赤十字社は、赤十字国際委員会、国際赤十字・赤新月社連盟、各国赤十字社が実施するウクライナでの人道危機対応及びウクライナからの避難民を受け入れる周辺国とその他の国々における救援活動を支援するため、2022年3月2日より「ウクライナ人道危機救援金」の受付を開始いたしました。開始から2週間、多くの皆さまから温かなご支援とご協力をお寄せいただいています。心から感謝申し上げます。

 このたび、日本赤十字社は、ウクライナにおける人道危機に対して皆さまから寄せられた思いを迅速に現地の救援活動に活かすために、国際赤十字・赤新月社連盟(連盟)と赤十字国際委員会(ICRC)の緊急救援アピール(資金援助要請)に対して、「ウクライナ人道危機救援金」7億円の追加資金援助を決定いたしました。この追加資金援助は、既に緊急救援として拠出した2,000万円(連盟あて1000万円、ICRCあて1000万円)に加えて実施するものです。連盟とICRCそれぞれに3億5千万円が日本赤十字社から3月末までに送金されます。

 連盟は、今回の危機で影響を受けたウクライナ国内の人びと、避難するために移動を余儀なくされている人びと、避難先の国に到着し滞在している人びと(隣接国や第三国)を対象に、物資や食料、医療などの差し迫ったニーズに対する支援、心理社会的支援(こころのケア)、一時的な避難所に住むための支援(当面必要な衣服や靴、毛布などの支援)、現金やデビットカードなどの給付支援、給水・衛生及び衛生促進、女性や子ども等の保護に配慮した支援等を実施していきます。また、ICRCは、紛争地における食料や水の配付、紛争で負傷した人びとへの医療支援、心理社会的支援(こころのケア)、不発弾のリスク啓発、紛争当事者への国際人道法遵守の働きかけ、国際人道法に基づく保護活動、家族再会支援を含む離散家族支援等を拡充していく予定です。

ウクライナでの戦闘が激化して3週間、支援を必要とする人びとに寄り添った赤十字の活動をお伝えします:(C)国際赤十字・赤新月社連盟  日本語訳:日本赤十字社

既に、ウクライナおよび周辺国の赤十字社では戦闘激化の当初から24時間体制で職員、ボランティアが活動しています。ウクライナ赤十字社は国内各地で400トンの支援物資(食料、毛布、テント、衛生用品などを含む)を配付し、4万2000人に応急手当の研修を実施したり、障がいのある人や高齢の人が避難するための手助けをしたりしています。これまでに6万人以上の市民がウクライナ赤十字社の支援のもと避難しています。

国際赤十字は現在、ウクライナの西部と南部の国境に沿った1400キロメートルの緊急支援ルートを拡大しながら、救援物資の運搬などをより迅速に行うことに重点を置いています。周辺国の赤十字社は自国内での支援だけではなくチームでウクライナに入り、移動中の人びとに食料や衛生用品を届ける支援を行っています。

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24時間体制で避難した人に温かい食事を提供するウクライナ赤十字社ボランティア(C)IFRC

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物資を運ぶトラック 提供:ICRC

これまでに、ICRCの活動拠点があるウクライナの首都キーウ(キエフ)をはじめ、南部オデッサ、東部マリウポリ、ドネツク、等の病院や避難所に医療品や食料、水、衛生用品が届けられており、3月15日には、200トン以上の医療物資や救援物資がウクライナに届きました。

紛争の長期化が懸念され、人道ニーズの増大が続いていることから、国際赤十字は中長期的な支援を念頭に置いており、現在、連盟とICRCが要請する総額2億5000万スイスフラン(約313億円)の緊急救援アピールは、今後その活動内容や予算が拡大される予定です。

現在ハンガリーで開催されている国際赤十字の緊急支援会議に出席している日本赤十字社の佐藤国際救援課長は、「特にウクライナ国内の窮乏が急速に深刻化しており、国際赤十字がこれまでに培ってきた救援能力を集中的に投入して同国と周辺国の人道ニーズに対処しています。同時に、もしこのまま事態が長期化した際に救援が後手に回らないよう、短期集中型の支援構造を維持しつつ長期持続型の救援体制の準備を始めているところです。」と報告しています。

私たちは、国際赤十字のネットワークと各地域にいる赤十字職員・ボランティアの力を最大限に活かし、支援を必要とする人びとに寄り添った活動を続けていきます。引き続き、皆さまのご理解とご支援をよろしくお願い申し上げます。

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「ウクライナ人道危機救援金」

受付期間: 2022年3月2日(水)~2022年5月31日(火)

使途  : 国際赤十字・赤新月社連盟、赤十字国際委員会、および各国赤十字・赤新月社が実施する、ウクライナでの人道危機対応及びウクライナからの避難民を受け入れる周辺国とその他の国々における救援活動を支援するために使われます。