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東日本大震災活動レポート

生活再建

3年目の「3.11」 岩手を訪ねて①

14/03/07

震災後、「岩手県ノルディックウォーキング奉仕団」が結成され、被災地などで教室を開催しています

 2本のポールを持って颯爽と歩くのは70~80代の高齢者の皆さん。長い坂道も立ち止まることなく、ぐんぐん登っていきます。「正しい歩き方を教えてもらい、ササッと歩けるようになりました」と参加者の佐々木美穂子さん(79)。2月12日の午後、岩手県大船渡市にある地ノ森(ちのもり)仮設団地(約70世帯)で開かれたノルディックウォーキング教室には、顔なじみの住民約20人が参加しました。

(写真:震災後、「岩手県ノルディックウォーキング奉仕団」が結成され、被災地などで教室を開催しています)

「最近、前向きになってきました」という佐々木さんは、手芸や洋服のリフォームを趣味の範囲でも続けていきたいと考えているそうです

「ウォーキングで気持ちが明るくなりました」

 大船渡市は震災で420人の死者・行方不明者を出し、家屋の約2割が全半壊。佐々木さんの自宅も津波に襲われました。「主人と一緒に洋裁のお店を営んでいましたが、ミシンなども全部流されてしまって…。仕事ができなくなったことは辛かったですね」
 高台に建てられた地ノ森仮設団地の一室に入居するようになった佐々木さんですが、最初は慣れなくて精神的に大きなストレスを感じた、と振り返ります。周囲に顔見知りは見当たらず、閉じこもりがちになり、夫とはけんかばかりをしていたといいます。
 そんな時、日赤岩手県支部が県内の仮設住宅を対象に巡回開催しているノルディックウォーキング教室に誘われました。医者にも「歩くように」と言われていた佐々木さん。「ここに来たら、近所の方ともお話しができるようになったし、明るかった自分を取り戻しました」と笑います。

(写真:「最近、前向きになってきました」という佐々木さんは、手芸や洋服のリフォームを趣味の範囲でも続けていきたいと考えているそうです)

ラーメンはパブ時代にも締めの一品として出していたのでお手の物。おすすめの磯ラーメンは魚介類が盛りだくさんです

「人口の減少に将来への不安を感じます」

 震災前に約4万1000人を超えていた大船渡市の人口は、現在3万9,000人余りと、減少傾向にあります。港に近い大船渡町字茶屋前にある仮設商店街「おおふなと夢商店街」でらーめん&餃子の店「食堂ぽぽろ」を営む伊藤美智子さん(59)は「昨年の8月くらいからは訪れるボランティアの方の人数も減って…。この商店街の中でも店じまいをしたところもあるんです」と語ります。
 以前はパブを経営していた伊藤さんですが、津波ですべてが流されました。震災後、夫の裕康さん(56)が「餃子を焼くのを手伝ってほしい」とボランティアさんから声を掛けられたのをきっかけに、現在の店を始めました。
 「今は復興関連の業者の方もいらっしゃいますが、その先を考えると…。大船渡は人口が減っているわけですから、営業を続けて行けるのか不安があります」。

(写真:ラーメンはパブ時代にも締めの一品として出していたのでお手の物。おすすめの磯ラーメンは魚介類が盛りだくさんです)

復興の槌音と今後の課題

 震災から3年。多くの被災地では人口の減少や高齢化などの課題を抱えている一方、復興工事の土木や資材を運ぶ大型のダンプの姿が以前にも増して目立つなど、復興への歩みが確実に進んでいることがうかがえます。日本赤十字社は今後も復興に向けて、被災された皆さんに寄り添い支援を継続して参ります。

3年目の「3.11」はシリーズでお伝えしています
>>3年目の「3.11」 宮城を訪ねて②
>>3年目の「3.11」 福島を訪ねて③
>>3年目の「3.11」 福島を訪ねて④