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東日本大震災活動レポート

こころのケア

巡回診療とこころのケア

11/03/20

「風邪ひいとる子はおらへんか、みんな元気にやっとるか?」
 沿岸部が壊滅的な被害を受けた岩手県大槌町の金沢地区にある山間の避難所。神戸から駆けつけた日赤救護班の医師が笑顔で呼びかけると、子どもたちが一斉に振り返ります。
 「関西弁聞いたの初めて」「どっから来たの?」
 医師を取り囲んで質問攻めにする子どもたちの歓声が、避難所の雰囲気をパッと明るく変えていきました。



 「阪神・淡路大震災の時には、自分たちがみんなに支えてもらって本当に心強かった。今回は自分たちがみんなに恩返しをする番だと思っています」。そう語るのは、被災者のこころのケアを担当している神戸赤十字病院の村上典子医師です。

 被災から1週間が経過し、避難所では掃除や救援物資の分類などの仕事を被災者同士で役割分担。多くの方は落ち着いた様子で過ごしています。しかし、避難生活が長期化するにしたがって、心身の不調を訴える人の増加が心配されています。周囲から離れて一人でふさぎ込んでいたり、同じことを繰り返し話すようになる方がいたら、誰かが話を聞いてあげる――などのケアが必要です。

 「被災者の方は自分の体験を第三者に聞いてもらうことで、症状が軽くなることもあります」とこころのケアの役割を説く村上医師。しかし、その際には忘れてはならないことも。「無理に話を聞き出そうとしてはいけません。自分から話し出すのを待つことが大切で、落ち着いて話ができるような環境を作るなどの工夫も時には必要です」と注意点を強調しています。
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