[ WORLD NEWS ] コロナ禍で深刻さを増す移民問題~移民の人々の心に寄り添い続ける中南米の赤十字社

北米など安住の地を目指す、数十万人の移民が「国境閉鎖」によって苦境に立たされています。 コロナ禍と移民問題に直面する中南米の現状と現地での活動を伝えます。

中南米には国境付近で足止めされている移民たちの大きなキャンプが複数ある(写真はコロンビア)

国境周辺に集まる移民たち…感染拡大につながる大きな懸念に

中南米における新型コロナウイルス感染者数は、ついに900万人を突破。世界各地の感染者数を比べると、上位10カ国の中に中南米のブラジル、アルゼンチン、コロンビア、ペルー、メキシコが含まれているという状況*1です。

 これらの国々にはより安全で安心な暮らしを求めて北米を目指す移民も多く、数千人単位の人々が「キャラバン」と呼ばれる集団を作って国境を目指します。国境が閉鎖される中、コロンビアとベネズエラの国境地帯で感染者数が急増したという報告もあるなど、移民・難民の密集は大きなリスクが伴います。


*1 2020年10月14日時点

身動きが取れず、追い詰められる移民に 「希望」を与える、赤十字の努力 

パソコンでリモート支援を行うカーラさん

そんな状況の中、中南米の各国赤十字社は感染症対策を強化して移民に向けたサポートを継続。コロナ禍で国境が閉鎖され、身動きが取れなくなった移民たちのために赤十字ボランティアも数多く活躍しています。

 南米大陸の北部にあるエクアドルも深刻な移民問題を抱える国の1つ。エクアドル赤十字社のボランティア、カーラさんは次のように語ります。
「国境閉鎖で身動きが取れなくなった移民たちは、かつてないほど厳しい状況に置かれています。彼らには水や食料だけでなく、感染防止策や治療体制も不足し、多くの不安やストレスを抱えているのです」

 こうした実情を踏まえて、エクアドル赤十字社では移民への支援として食料や衛生キット、医薬品などの提供のほかに、「こころのケア」にも注力。人々が心のよりどころを持つことを重視し、携帯電話を使ったホットラインやリモート支援を行っています。
「移民たちの不安な気持ちをくみ取り、話を聞くことで彼らの苦しみが少しでも癒やされるように、と活動しています。時には、離れ離れになった友人や家族と連絡を取る支援もしています」とカーラさん。同社の離散家族の連絡支援は4万件*2を超える実績があります。
*2 2018年以降
 新型コロナウイルスの感染拡大の影響は移民にも計り知れないほどの困難な状況をもたらしています。世界各地の赤十字・赤新月社は、彼らの気持ちに寄り添いながら人々が本当に必要とする支援を続けています。