オーストラリア森林火災

被災者の支援にあたるオーストラリア赤十字社の長い戦いをリポートします。

避難所では赤十字スタッフとボランティア 、延べ2500人がサポート

ボランティアと抱き合うマットさん。赤十字は救援物資だけでなく、被災者の心理面もサポートする

2019年後半から多発し、半年以上も続いたオーストラリアの森林火災。1000万ヘクタール以上の土地を焼き尽くしたこの火災で、20人以上が死亡、2000棟が焼失したともいわれています。オーストラリア赤十字社では、避難・救援センターに延べ2500人以上のスタッフとボランティアを投入し、被災した人々へのサポートを続けています。
 ビクトリア州に住むマットさんも赤十字の救援センターでサポートを受けた被災者の1人。昨年12月31日の夜中に山火事に襲われたマットさんは、轟々と鳴り響く風の音で目を覚ましました。しかしマットさんが耳にしたのは風の音ではなく、大きな炎がうなりを上げて燃え上がる轟音。周囲を包み込むオレンジ色の炎に驚きながら外へ飛び出したマットさんは、10年間住んでいた家がほんの数分で燃え落ちるのを目の当たりにしました。知人の家に一時避難した後、マットさんがたどり着いたのは赤十字の救援センター。赤十字のボランティアたちは放心状態だったマットさんを温かく出迎え、マンツーマンでサポート。「センターの誰もが私を助けてくれた」と語るマットさんは火災から2週間後には落ち着きを取り戻し、救援金の5000ドルを有効活用して自分の生活を立て直そうと考えています。

激化する一方の森林火災、気候変動が大きな要因か

煙や灰などによって引き起こされる大気汚染も深刻化した

 オーストラリア赤十字社では、救援金や物資による支援だけでなく、コミュニティの再構築にも力を入れています。その支援策の1つがウェブサイト「Register.Find.Reunite.(登録、発見、再会)」。愛する家族や友人と連絡が取れなくなってしまった人のための安否確認サービスの運営です。これまでに6万1000人以上がこのウェブサイトに登録しており、離れ離れの家族や友人と再会できる日を待ち望んでいます。
 豊かな自然を誇るオーストラリアではこれまでも多くの山火事を経験してきました。しかし、今回の森林火災の激しさは別格です。さらには同時期に、大雨や洪水、あるいは干ばつといった異常気象に見舞われている地域もあります。地球規模の気候変動がこうした自然災害の要因と考えられ、オーストラリア赤十字社はその危険性についても警鐘を鳴らしています。

この記事は赤十字NEWS 2020年3月号の掲載内容をオンライン用に編集したものです。
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