【謹賀新年】期待と信頼に応える年に

赤十字創立から140年余 時代の変化に対応し、さらなる挑戦を!

明けましておめでとうございます。      
 昨年11月に行われた天皇、皇后両陛下のご即位パレードは、いまも多くの方の記憶に鮮やかに残るものではないでしょうか。澄み切った青空の下、両陛下の晴れやかな笑顔と沿道を埋め尽くした観衆の声援。日本全体に祝福の空気が広がり、新時代「令和」の幕開けを改めて実感させられました。
 そして、日本赤十字社にとりましても、新名誉総裁をお迎えし、記念すべき年となったことはご承知のとおりです。
 こうした慶事の一方で、昨年は、たび重なる災害によって、広範囲に甚大な被害が生じた年でもありました。特に、台風19号では河川の氾濫によって多くの方が平穏な暮らしを脅かされ、農業への被害なども深刻なものとなりました。
 日赤も、延べ800人を超える医療救護班を派遣し、各地に支援物資をお届けしましたが、特筆すべきは、災害発生直後から開始された赤十字奉仕団の活躍です。被災地の方からお手紙で「避難所での赤十字ボランティアさんの献身的な活動は、本当に心強く、ありがたかった」とのお声をいただきましたが、こうした支援活動が被災各地で力強く展開されました。
 初代社長佐野常民は、博愛社誕生の際にこう説いています。「真正の文明は道徳的行動の進歩と相伴わざるべからず」。社会が進歩・発展していくには、道徳的行動が伴わなければならず、それを実践するのが博愛社、すなわち後の赤十字であると。
 それから140年あまり、赤十字の諸先輩たちが、病や貧困、災害や紛争などで苦しんでいる人々を見過ごすことはできないという、人として誰もが持つ自然な心情に基づいて、その時々の社会の状況に応じながら幅広い活動を積み重ね、また、救護・医療・血液・社会福祉・国際貢献などの事業を組織的に展開することによって、今日の日赤を作り上げてきたのです。
 この歴史と伝統は、何にも代え難い貴重な財産です。私たちには、これをきちんと継承し、さらに発展させ、次の世代に引き継いでいく責任があります。
 しかし、時代の変化はますます加速し、我々が取り組むべき課題はさらに広がりを見せています。例えば、近年、自然災害が激甚化・頻発化しているだけでなく、発災のたびに新たな課題が浮き彫りになり、より柔軟で、被災者のニーズに即した多様な支援が求められています。また、超少子高齢化をはじめとする社会の構造変化に伴い、医療・福祉事業にも大きな改革の波が押し寄せています。血液事業においても、これまで蓄積されてきた人的、物的資源を生かし広く国民の健康維持に貢献することができないか、新たな方向が模索されています。国際活動の分野でも、グローバル化の進展、激動する国際政治経済、地球温暖化といった動きの中で、新しいタイプの人道問題が次々に生じてきているのです。
 こうしたさまざまな変化に対応するために、柔軟な発想に立って考えること、そして、失敗を恐れず果敢に挑戦する姿勢が、いま日赤全体に求められていると考えます。
 私たちには、多くの仲間と、私たちの活動を期待し、信頼してくれている多くの人々がいます。そうした人々の期待と信頼に応えるために、私たちは引き続き、たゆまぬ努力を続けてまいります。
 どうぞ本年も、温かく力強いご支援をたまわりますようお願いいたします。

この記事は赤十字NEWS 2020年1月号の掲載内容をオンライン用に編集したものです。
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