核兵器廃絶に向けたユースアクションフォーラム

核兵器禁止条約の採択から2年、そして国際赤十字・赤新月社連盟創立100周年の今年、 世界12カ国の若者が集結し、核兵器廃絶について議論を交わしました。

ユースの胸を打つ被爆者の証言

広島原爆ドームを訪れたユースの一行。平和記念公園では献花も行った

日本赤十字社主催の「核兵器廃絶に向けたユースアクションフォーラム」が、7月1日~3日にかけて広島市内で開催。日本を含む世界12カ国から赤十字ユースボランティアが参加しました。このフォーラムは、原爆被害の実態や核兵器の恐ろしさについて、被爆国である日本から世界に向けて発信するだけでなく、参加したユースが自分事として行動するきっかけを作るという大きな意義が込められています。

 今回集まった19~30歳のユースメンバーは、原爆ドームなどを訪れて核の脅威を自身の目で再確認。中でも彼らの胸に深く刻まれたのは、被爆者たちの証言の数々でした。当時、赤十字の看護学生だった竹島直枝さん(91歳)は、爆心地から約1.5kmにあった旧広島赤十字病院の寮で被爆。建物の下敷きになって足を引きずりながら、被爆直後から救護活動にあたりました。病院に掲げられた赤十字の旗は人々の“希望の印”となったものの、竹島さんは「皮膚が垂れ下がるほどのやけどなのに、油を塗ったガーゼで傷口を押さえる程度の手当てしかできなかった」と、当時の苦しい胸の内と被爆直後の悲惨な状況を語りました。

 こうした貴重な体験談に心を揺さぶられたユースメンバーたちは、活発なディスカッションを展開。「広島で学んだことを自国の平和にもつなげていきたい」(内戦が長く続く南スーダンのメンバー)、「同じような境遇の者として共感し、勇気をもらった」(家族が核実験による被爆者となったマーシャル諸島のメンバー)、「核の被害は生涯にわたって続くことを知った」(核保有国であるフランスのメンバー)など、それぞれの立場で核兵器の恐怖に対する考えを深めていきました。

未来の主役となる若者たちが 核兵器廃絶に向けて団結

17歳で被爆した竹島直枝さんは強い使命感で戦争の記憶を語り継ぐ

今年、核兵器禁止条約が国連で採択されてから2年を迎えましたが、同条約の発効に必要な50カ国での批准にはいまだ届いていないのが実情です。今回のフォーラムは、核兵器廃絶の実現に向けて、未来を担う次世代に被爆者たちの体験を継承していく、という大切な役割を果たしました。最終日のプログラムを終えたユースメンバーたちは核兵器廃絶を誓う声明をまとめ上げ、SNSを活用するキャンペーンなど若い世代ならではの施策を提案。「フォーラムで得た教訓を母国へ帰っていかに広めていくか、そして問題意識を持ち続け、行動を起こしていくかが大事」と口々に語りながら帰国の途につきました。

 赤十字は今後も全世界の赤十字・赤新月社共通の目標として核兵器廃絶を掲げ、次世代への継承に取り組んでいきます。

この記事は赤十字NEWS 2019年8月号の掲載内容をオンライン用に編集したものです。
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