第45回フローレンス・ナイチンゲール記章 日本から看護師2名が受章

2年に1度、顕著な功績のあった看護師に授与される世界最高の記章であるフローレンス・ナイチンゲール記章の受章者が、5月12日、赤十字国際委員会ナイチンゲール記章選考委員会(スイス・ジュネーブ)から発表されました。

今回は世界で36名が受章し、日本からは惣万 佳代子さん、山田 里津さんの2名が受章しました。お二人は、それぞれ公衆衛生分野における活動、看護教育分野における活動での功績が認められました。今回の受章により受章者総数は1,447名になり、日本人の受章者総数は107名となりました。授与式は年内に執り行われる予定で、日本赤十字社名誉総裁である皇后陛下御手ずから記章が授与されます。授与式に関する詳細が決まりましたら改めてご連絡いたします。

【フローレンス・ナイチンゲール記章について】

この記章は、紛争下において敵味方にかかわらず負傷者を保護する役割を担う赤十字が、1907年および1912年の赤十字国際会議で、世界各国の顕著な功績のある看護師に授与することを決定したことに端を発します。ナイチンゲール女史の生誕100周年を記念して、1920年(大正9年)に第1回の授与が行われました。それ以来、隔年でナイチンゲール女史の生誕日の5月12日に赤十字国際委員会から発表されています。

受章資格を有する者は、平時または戦時において、傷病者、障がい者または紛争や災害の犠牲者に対して、偉大な勇気を持って献身的な活動をしたり、公衆衛生や看護教育の分野で顕著な実績を残したり、創造的・先駆的貢献を果たした看護師や看護補助者です。

同記章は、()(ぎん)製アーモンド型メダルで、表面は燭(ともしび)を手にしたナイチンゲール女史の像と「1820~1910年フローレンス・ナイチンゲール女史記念」の文字があり、裏面には受章者名と、ラテン語で「博愛の功徳を顕揚し、これを永遠に世界に伝える」と刻まれています。

【受章者のプロフィール】

惣万 佳代子(そうまん かよこ)さん

・富山県生まれ(63歳)

・富山県富山市在住

・現職:特定非営利活動法人このゆびとーまれ 理事長

・ 主な功績

平成5年に20年間勤務した富山赤十字病院を退職し、高齢者だけでなく、子どもや障がい者などの誰もが利用できるデイケアハウス「このゆびとーまれ」を開設した。同施設は、当時の国の法律に基づいた郊外の大規模収容施設とは異なる、従来存在しなかった「地域密着、小規模、多機能」をコンセプトとした共生型福祉施設であり、これが後の「富山型」デイサービスとして発展し、今では全国1400カ所以上に増えている。開設当時、公的な補助金の交付対象施設ではなかったことから、厳しい経営状況が続いたが、年齢や障がいの有無に関わらず、誰もが利用出来るという施設の方針への共感と理解が広まったことにより、その後補助金の交付対象となり、「富山型」デイサービスが全国に広がるきっかけとなった。

平成14年から、行政と協働で「富山型デイサービス企業家育成講座」を開催し、「富山型」デイサービスの開設を目指す人に対して、開設に向けた心構え、効果的な施設運営等の研修を行っている。また、短期ボランティアや企業家、医学生および看護学生等の施設研修を受入れるなど、「富山型」デイサービスを支える人材のすそ野の拡大にも取り組んでいる。

山田 里津(やまだ りつ)さん

・三重県生まれ(89歳)

・千葉県八千代市在住

・現職:医療法人鳳生会 理事

・主な功績

昭和22年、GHQの占領下、三重県教育民生部で初めての女性技官として衛生課技師の任命を受けた。県内に全国で最も乳児死亡率が高い地区があったことから、その改善の取り組みとして、保健師を対象とした当時の最新の公衆衛生学を教授し、保健師による家庭訪問の強化や妊産婦の労働環境の改善を通じて、乳児死亡率の減少に努めた。

昭和38年、厚生省医務局看護課看護係長として看護教育の改革に努めた。当時、医師によって医学中心の看護教育が行われており、看護学は学問としてまだ十分に確立されていなかった。昭和42年に看護教育の内容の向上を図るために「保健婦助産婦看護婦学校養成所指定規則」を改正し、看護学を専門職の学問として確立すべく「看護学総論」を導入するとともに、専門科目のカリキュラムの作成に貢献した。

昭和48年、国内で初めて看護職の学校長として、三井記念病院高等看護学院の校長に就任した。以降複数の看護教育の現場に携わり、これまで2000人の看護師を育成した。また、看護学校の運営と管理に関する『看護学校運営の手引き』や、多くの看護教員が学んだ『教務必携』などの著書を記した。

平成16年以降は介護福祉教育にも携わり、これまで取り組んできた看護教育との融合に努めている。