100年以上の歴史を持つ国際協力基金「昭憲皇太后基金」の配分決定~約1,218万円を6カ国に~

赤十字国際委員会、国際赤十字・赤新月社連盟で構成される昭憲皇太后基金管理合同委員会は、今年度の基金の配分先を決定しました。

チリ、ホンジュラス、コモロ、エジプト、セルビア、アイルランドの赤十字社・赤新月社に対し、総額約1,214万円(10万5,000スイスフラン)が配分されます。

第93回 昭憲皇太后基金支援事業

1.チリ赤十字社(中南米)

障がい者の社会参加推進事業の実施 約126万円(1万913スイスフラン)

チリには約200万人の障がい者(自閉症、ダウン症など)がいると言われています。しかし、仕事や社会参加の機会が限られているため、チリ赤十字社は社会参加推進プロジェクトの実施を計画しています。これは赤十字ネットワークを活用し、ボランティアや障がい者を支える団体、企業のCSR部門と協力して行うものです。

このプロジェクトを通じて、チリ社会が障がい者を前向きに受け入れることを促すとともに、障がい者自身のスキルや知識の向上、さらに収入を継続的に得ることを目指します。

2.ホンジュラス赤十字社(中南米)

若者の犯罪率減少に向けた教育プログラムの実施 約150万円(1万2,976スイスフラン)

ホンジュラスでは、貧困や不平等、生活環境の悪化が社会的な問題となっています。中でも、国民の70%を占める30歳以下の若者の犯罪率の高さが大きな課題となっています。その要因の一つは、違法な集団とギャング集団とのつながりです。その結果、若者は偏見の目で見られ、精神的・身体的な暴力を受ける対象になっています。

ホンジュラス赤十字社は、「人間の尊厳の尊重」と「若年層の行動変革」を促す教育プログラムを通じて、赤十字の人道主義や価値観を広め、若者の犯罪や違法行為への関与のリスクを減らす活動を実施します。

3.コモロ赤新月社(アフリカ)

若年層ボランティアの活動強化 約222万円(1万9,234スイスフラン)

コモロ赤新月社に所属する12,500人のボランティアの70%は30歳以下の若者で構成されおり、同赤新月社の活動には、これらの若者の積極的かつ活発な参加が重要となっています。しかし、活動の少なさやイニシアティブの欠如が要因で、ボランティアの離脱率が高いということが問題となっています。

コモロ赤新月社は国内全体(3つの諸島)で若者に向けて研修会を行い、ユースリーダーやコーディネータの育成を通じ、持続可能な活動を行える体制づくりを構築します。

4.エジプト赤新月社(中東)

聴覚障がいや言語障がいがある方も参加できる救急法教育の実施 約231万円(2万スイスフラン)

エジプト赤新月社は、同国で救急法の普及活動を率先して実施していますが、この活動をさらに充実させ、聴覚障がいや言語障がいのある方への救急法の普及を強化します。まずは救急法指導ボランティアに手話を指導し、聴覚障がいや言語障がいのある方も救急法を受講できる環境を整備し、やがては、障がい者も同赤新月社の活動に参画できる体制を構築します。

5.セルビア赤十字社(ヨーロッパ)

人身売買防止プロジェクトの実施 約230万円(1万9,890スイスフラン)

セルビア赤十字社は、人身売買を防止するプロジェクトを推進しています。中でも社会的弱者である子ども、孤児、障がい者を人身売買から守るため、同赤十字社は20の支部でボランティア指導者を育成し、幼稚園や小学校、中学校でのワークショップを通じて人身売買の危険について知識を高める啓蒙活動を実施します。

6.アイルランド赤十字社(ヨーロッパ)

受刑者に対して地域保健や救急法の提供 約254万円(2万2,000スイスフラン)

アイルランド赤十字社は、世界で初めて刑務所にいる受刑者に対して、同じく受刑者のボランティアを通じて、救急法の講習を実施した赤十字社です。今後は活動を拡大し、より多くの刑務所で活動していきます。

今日の開発援助の先駆けとなった昭憲皇太后基金

昭憲皇太后基金は、明治45年(1912年)にワシントンで第9回赤十字国際会議が開催された際、昭憲皇太后が赤十字の平時事業を奨励する思し召しをもって国際赤十字に10万円(現在の3億5千万円相当)を寄付されたことを機に創設されました。本年3月31日時点での基金総額は約16億5,292万円(1,429万スイスフラン)で、この基金から生じる利子を配分しています。

赤十字が戦時の活動を中心としていた時代に、災害対策、保健衛生、血液事業、青少年赤十字活動など、今日の開発援助を先取りする本基金の創設は極めて画期的なことでした。また、同基金は皇室をはじめとする日本からの寄付金によって成り立っています。

運営と配分は昭憲皇太后基金管理合同委員会が行い、毎年、昭憲皇太后のご命日にあたる4月11日に配分しています。これまでの配分は大正10年の第1回から今回までで、合計約14億6,322万円(1,265万スイスフラン)、配分先は159の国と地域に上ります。

世界中の災害・感染症などに苦しむ人びとの救済や福祉の増進、防災、病気の予防など、時代を先取りした率先的な人道支援は世界で高く評価され、深い敬意と謝意が寄せられています。