100年以上の歴史を持つ「昭憲皇太后基金」の配分決定~約1,055万円を5カ国に~

赤十字国際委員会、国際赤十字・赤新月社連盟で構成される昭憲皇太后基金管理合同委員会は、今年度の基金の配分先を決定しました。イラン、エリトリア、キリバス、ベラルーシ、ボリビアの赤十字社・赤新月社に対し、総額約1,055万円(98,779スイスフラン)が配分されます。

同基金は、明治45年(1912年)に、昭憲皇太后(明治天皇の皇后)が国際赤十字に10万円(現在の3億5千万円相当)を寄付されたことから始まった国際協力基金で、昨年、100周年を迎えました。創設100周年に合わせて日本国内で実施した特別増額募金(平成24年1月1日~平成25年4月11日)に際しては、天皇皇后両陛下からご下賜金を賜り、明治神宮と明治神宮崇敬会からもご寄付をいただきました。また、多くの方々からも募金が寄せられ、募金総額は約2億円に達しました。お寄せいただいた募金は、基金の増資のために基金管理合同委員会に送金されます。

本年3月31日時点での基金総額は約11億4,600万円(10,732,486スイスフラン)で、この基金から生じる利子を配分します。大正10年の第1回配分から今回までの同基金による配分額は、合計で約13億4,100万円(12,554,965スイスフラン)、これまでに配分を受けた国は158の国と地域に上ります。

第92回 昭憲皇太后基金支援事業

1.イラン赤新月社(中東)

刑務所に収容された囚人のいのちと健康を守る活動の実施 約235万円(22,000スイスフラン)

イランでは、隣国との国境に近い地域に暮らす若者の間で失業や貧困、薬物中毒、その他の社会問題が深刻化しており、これらが若者による犯罪を増加させています。罪を犯した若者は刑務所や更生施設等に送られます。イラン赤新月社は、国境近くの5つの州の30の刑務所にいる4,000人の若い囚人たちに対して、赤十字の人道主義や価値観を広め、彼らのライフスタイルを変化させ、地震や火事などの災害に対応できる人材として育てるための支援を実施します。

2.エリトリア赤十字社(アフリカ)

救急法の普及や救急車サービスの実施 約226万円(21,176スイスフラン)

エリトリアでは、死亡や負傷の最たる原因が交通事故となっているため、エリトリア赤十字社は交通安全に対する地域住民の意識を高め、交通安全訓練を実施します。また救急法の普及や負傷者を搬送する救急車サービスの提供を通じて、交通事故による死亡や負傷を減らすことにも取り組みます。

3.キリバス赤十字社(大洋州)

クリスマス島における救急法講習の実施 約200万円(18,719スイスフラン)

キリバス赤十字社は、国内唯一の救急法事業の提供者として、事故の多発する地域などで講習を実施しています。同国内最大の島であるクリスマス島は、医療機関へのアクセスが限定されていることから、同島の3つの学校(14歳から16歳までの生徒40人と体育教師)と、職種上特に事故や怪我が起こりやすい2つのコミュニティに対して救急法安全講習を実施します。

4.ベラルーシ赤十字社(ヨーロッパ)

障がいのある子どもと家族を対象にサマーキャンプを開催 約189万円(17,700スイスフラン)

ベラルーシでは、障がいのある子どもとその家族は、貧困や社会的差別の中で、十分な支援を受けられない状況に置かれています。

ベラルーシ赤十字社は、障がいのある子どもとその家族を対象に、サマーキャンプを実施し、特別活動等を通じて、54人の子どもたちとその家族の自立支援を行います。

5.ボリビア赤十字社(中南米)

被災した子どもや若者に対する救急法および防災教育の実施 約205万円(19,184スイスフラン)

ボリビアでは、2011年に発生した豪雨災害により現在も仮設住宅に暮らす被災者たちが、増加する身体的・精神的・性的暴力に直面しており、その件数は増加しています。

ボリビア赤十字社は、仮設住宅に暮らす被災児童や若者が通う2つの学校において授業を設け、生徒たちのみならず、同世代の若者、家族の間でも救急法や防災に対する意識が高まるように取り組みます。また、赤十字が推進する人道的な理念を広めます。

合計 約10,548,350円(98,779スイスフラン)
※1スイスフラン=106.81495円で換算(平成25年4月11日現在)

今日の開発援助の先駆けとなった昭憲皇太后基金

昭憲皇太后基金は、明治45年(1912年)にワシントンにおいて第9回赤十字国際会議が開催された際、昭憲皇太后が赤十字の平時事業を奨励する思し召しをもって国際赤十字に10万円(現在の3億5千万円相当)を寄付され、これを基に創設されました。赤十字が戦時の活動を中心としていた時代、今日の開発援助を先取りする本基金の創設は極めて画期的なことでした。

同基金は皇室をはじめとする日本からの寄付金によって成り立っており、運営と配分は昭憲皇太后基金管理合同委員会によって行われ、毎年、昭憲皇太后のご命日にあたる4月11日に基金の利子を財源として配分しています。これまでの配分は158の国と地域に上り、世界中の災害・感染症などに苦しむ人々の救済や福祉の増進、防災、病気の予防などの活動に充てられてきました。その実績は世界で高く評価され、日本の皇室の、時代を先取りした率先的な人道行為に深い敬意と謝意が寄せられています。

毎年、昭憲皇太后のご命日にあたる4月11日に基金の利子配分が決定、発表されます。対象となる事業は、災害対策、保健衛生、血液事業、青少年赤十字活動など、開発途上国における赤十字の平時事業です。