国際的ネットワークを生かして原子力災害への備えを強化 ~「原子力災害対策にかかる赤十字会議」が閉会~

国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)は、平成23年11月にスイス・ジュネーブで開かれたIFRC総会における「原子力災害時の備えを強化する」との決議を受け、5月14日~16日に「原子力災害対策にかかる赤十字会議」を東京で開催しました。本会議では、まず、「原子力災害への対応は政府や専門機関のみならず、中立な立場で、かつ各国内で草の根の組織を持つ赤十字も取り組むべき」ことが再確認されました。今後、「市民への防災教育や災害対策の分野での活動を充実させる」ために、IFRCに担当者を置き、これまでにNRBC(原子力・生物・化学)災害への対応経験がある赤十字社などの意見も集約しながら、具体的な活動内容を協議していくことが決まりました。

IFRC会長・日本赤十字社社長の近衞忠煇は「原発は安全という神話は崩れ去り、不測の事態には限られた関係者だけで対応できるという考えは、大きな間違いであったことも明らかになった。想定よりはるかに多くの一般市民や機関が巻き込まれ、影響を受ける地域は広範囲におよび、対応を要した事項は多岐にわたり、対応に要する時間は数十年と長く、影響を心配する動きは国境を越えて世界にまで広がる。赤十字は、そうした前提に立って、他の自然災害、技術災害と同様に原発事故への備えもしておく必要がある」と挨拶し、改めて世界の人々と共に原発事故への対応を強化する必要性を訴えました。

原子力災害対策にかかる赤十字会議での議論概要

平成24年5月14日~16日に日本赤十字社 本社(港区芝大門)で開かれた本会議には、原発保有国のみならず、16の国と地域の赤十字社・赤新月社、IFRC、赤十字国際委員会(ICRC)など、59人が集い以下の事項に合意しました。

  • 赤十字は、原子力エネルギー利用の賛否にかかわらず、今後も起こりうる人道問題として、中立な立場から原子力災害対策に取り組む。
  • 本対策は原発事故に限ったものではなく生物・化学物質災害への対策とも関連させる。
  • 互いにノウハウを共有していくため赤十字内外のネットワークとの連携を重視する。
  • 既に各国で行っている災害対応の延長線上に原子力災害対策を位置づける。
  • IFRCに原子力災害対策専門担当者を配置する。
  • 上記担当者を中心に、
    1. 災害対策=赤十字の職員やボランティアの知識・技術・装備の向上、地域住民への啓発など
    2. 災害対応=避難所や屋内避難者へのサービスなど
    3. 復興=こころのケア、健康モニタリングなど
    4. 全フェーズにおける保健医療支援や情報提供など。

以上の分野において今後具体的に取り組む準備をすすめます。

これらの取り組みの具体的成果は、2013年秋に開催される次回IFRC総会で報告される予定です。

本件のお問い合わせ先
日本赤十字社 企画広報室 松本・鈴木 TEL:03-3437-7071