その他

輸血関連呼吸困難(Transfusion associated dyspnea:TAD)

TRALI、TACO、アレルギー反応のいずれの基準も満たさないが輸血以外に呼吸困難の原因が考えられないものをTADと称しています。

TADは輸血後24時間以内に発症する呼吸窮迫(困難)であり、TRALI、TACO、アレルギー反応の基準に合致しないものを指します。

(日本輸血・細胞治療学会 輸血療法委員会 輸血副作用対応ガイド(ver.1.0)より)

低血圧性輸血副作用(Hypotensive transfusion reaction)

収縮期と(または)拡張期の血圧の30mmHg以上の低下で定義される低血圧を特徴とし、輸血中または輸血終了後1時間以内に発症します。ほとんどの反応は輸血開始直後(数分以内)に発症し、輸血中止と補助的な治療で速やかに改善します。

(日本輸血・細胞治療学会 輸血療法委員会 輸血副作用対応ガイド(ver.1.0)より)

図:血圧低下 副作用発現時間(2022年)
hypotensive_2022.png

輸血後紫斑病(Post-transfusion purpura:PTP)

製剤中の血小板抗原(HPA)に対する患者の抗体により、輸血後5日から12日後に発症する血小板減少症で、HLA抗体が原因となる血小板輸血不応と異なり、患者自身の血小板も急激に減少し、出血傾向(粘膜出血、血尿、全身多発性出血斑等)を呈することが特徴です。妊娠や輸血で感作を受けている患者に起こり、主にHPA-1a抗原に対する抗体が関与していると考えられていますが、その他の抗原の関与も示唆されています。患者の血小板が破壊される機序ははっきりしていません。治療としては、IVIGやステロイドの大量投与、血漿交換等が行われます。

心機能障害・不整脈、腎機能障害、肝機能障害

心不全、心筋障害、心房細動・心室細動等の重篤な心機能障害や不整脈、急性腎不全等の重篤な腎機能障害、AST、ALTの著しい上昇を伴う肝機能障害があらわれることがあるので、患者の状態を十分観察し、異常が認められた場合には輸血を中止するなど、適切な処置を行う必要があります。

大量輸血の副作用

低体温、希釈性凝固障害、高カリウム血症・クエン酸による低カルシウム血症・低マグネシウム血症・アシドーシス等の電解質異常による障害等があらわれることがあります。

大量輸血では、適宜患者の状態を観察し、電解質や凝固関連検査を実施し、適切な処置を行う必要があります。

大量出血患者は低体温になりやすいとされていますが、特に輸液や輸血用血液製剤の加温が不十分な場合にはさらに低体温になりやすくなります。急速大量輸血を行う場合には、効率の良い加温器を使用する他、温風対流式加温ブランケット等の使用により低体温を防ぐよう努力すべきです。

低カルシウム血症は一時的なものであり、臨床的に重大な影響を持つことは多くありません。大量輸血時に血圧低下、心収縮性減少がある場合や、イオン化カルシウム濃度測定により低カルシウム血症が明らかな場合には、カルシウム補充を行います。

新生児輸血に伴う副作用

新生児や低出生体重児は、腎機能、心機能等が未発達であり、患者の状態を観察しながら、慎重に輸血を行う必要があります。例えば、輸血中は低血糖症Hypoglycemiaや高カリウム血症等について注意深くモニタリングを行う必要があります。