遡及調査

輸血後の受血者(患者)に感染症が疑われた場合、その輸血が原因かどうかを、保管検体等を用いて調査を実施します。調査の結果、病原体陽性となった輸血用血液製剤については、同じ採血から製造された他の製剤を輸血された受血者(患者)の状態を調査すると共に、この供(献)血者の過去の献血時の血液についても同様の調査を行います(受血者発)。一方、複数回供(献)血者の感染症スクリーニングの結果が陽転した場合も、過去の献血時の血液について調査します(献血者発)。これら一連の調査を遡及調査といい、輸血用血液製剤の製造販売業者である日赤の対応並びに輸血を実施する医療機関における輸血前後の感染症検査や患者血液の保存にかかる取扱いについては、平成17年3月10日付薬食発第0310009号「血液製剤の遡及調査について」により通知された『血液製剤等に係る遡及調査ガイドライン』(平成20,24,26年に一部改正)に定められています。

遡及調査の考え方

輸血による感染疑いの原因とされた輸血用血液と同時に採血された他の製剤が、医療機関に供給されていない場合、感染拡大防止のため血液センターからの供給を停止します。また、供給先の医療機関で未使用の製剤についても使用を停止し、回収します。対象製剤が既に輸血されていた場合は、受血者の感染状況についての調査を医療機関に依頼します。これは受血者(患者)の早期治療をはかり、健康被害を最小化することに寄与するためです。
『血液製剤等に係る遡及調査ガイドライン』では、主にHBV、HCV、HIVを対象にしていますが、日本赤十字社では、必要に応じて他の感染症に関する情報を入手した場合にも、遡及調査を行っています。

医薬品医療機器等法に基づく副作用報告と遡及調査ガイドライン

血液製剤に関する遡及調査は、医薬品、医療機器の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 第68条の22第3項及び第4項並びに第68条の2及び第68条の10に規定する副作用報告に際して、受血者(患者)からの情報に基づいて開始する調査です。
日本赤十字社では、感染の拡大防止、輸血用血液の安全性の向上および受血者(患者)のフォローのために、「輸血用血液等の遡及調査に関するガイドライン」を作成し、平成16年8月15日以降、主として供(献)血者からの情報に基づき判明した感染事例について遡及調査を実施してきました。
この調査は、日本赤十字社が製造・販売するすべての輸血用血液および原料血漿(製造プール前)について、献血後および輸血用血液使用後の感染情報等による遡及調査の方法を明らかにし、献血時の感染症検査陽転化による遡及調査等を対象としています。
その後、日本赤十字社作成のガイドラインや「血小板製剤の使用適正化の推進及び『輸血療法の実施に関する指針』の一部改正について」(平成16年9月17日付け薬食発第0917005号医薬食品局長通知)により、輸血前後の感染症マーカー検査の在り方について方向性が示されました。
これらの経緯を経て、厚生労働省から上記の「血液製剤等に係る遡及調査ガイドライン」が通知され、平成17年4月1日以降、遡及調査は当ガイドラインに基づいて行うこととされました。
このガイドラインは、一定期間ごとに見直され最新の知見が反映されることとなっています。