原虫

輸血用血液製剤に混入する原因

原生動物(単細胞生物で生態が動物的なもの)のうち、寄生性で病原となりうるものが原虫です。輸血を介して感染する原虫としては、マラリア、リーシュマニア症、シャーガス病、アフリカトリパノソーマ症、バベシア症などがあります。

昆虫などの節足動物による咬傷や摂食などで人に感染しますが、発熱程度のことも多く、感染していることに気付かず献血した場合に輸血用血液に混入することがあります。

Photo: CDC Public Health Image Library (PHIL)

原虫を媒介する主な節足動物(写真左より、蚊、サシガメ、マダニ)

日本における輸血原虫感染は、1994年にマラリアの、1999年にバベシアの報告があります。

日本赤十字社が行っている対策

輸入感染症対策のため、海外からの帰国日から4週間は献血を辞退していただくほか、マラリア、バベシア症、シャーガス病などの既往について問診で確認しています。また、マラリアやリーシュマニア症については、流行地域での滞在または居住歴を確認し、一定期間は献血をご遠慮いただいています。

シャーガス病の浸淫地域で生まれた方や4週間以上滞在された方などが献血された場合、念のための安全対策として、献血血液は血漿分画製剤の原料血漿として使用するとともに、わが国におけるシャーガス病の罹患率等を推定するための疫学調査を実施しています。

医療機関での対応

  • 輸血による感染症のリスクをゼロにすることはできませんので、患者への十分な説明と同意の取得(インフォームド・コンセント)をお願いします。
  • 輸血感染症の早期発見、早期治療や原因究明に資するため、輸血前後の感染症検査または検体保管の実施をお願いします。
  • 輸血後に、患者の感染症マーカーが陽転化した場合は、速やかに赤十字血液センター医薬情報担当者までご連絡ください。
  • 献血者や他の患者からの感染症情報を入手した場合は遡及調査させていただきますので、ご協力をお願いします。