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東ティモール:赤十字ボランティアが伝える救急法
12/01/20
■医療へのアクセスが限られた東ティモール
日本赤十字社は2004年7月から東ティモール赤十字社が実施する救急法普及事業を支援しています。
東ティモールは2002年にインドネシアから独立しましたが、アジアの最貧国と呼ばれています。病院や診療所、医師、看護師などの数が不足しているほか、救急車など急患搬送システムが確立されていないため、地域住民は緊急時に即座に診療を受けることが難しい状況です。加えて、道路状況が悪く、交通事故などが多発していることから、応急処置などケガに対処できる救急法のニーズは現在も多くあります。
今回7年半にわたって実施した救急法普及事業の成果を確認するため、職員3名を現地に派遣し、関係者への聞き取り調査を行いました。
■赤十字ボランティアに支えられて
東ティモール赤十字社は現在、救急法普及活動のほか、HIV・エイズ予防対策や鳥インフルエンザ予防活動も並行して実施しています。どの活動も赤十字ボランティアが中心的な役割を担ってコミュニティに普及しています。
首都のディリでは多くの赤十字ボランティアが活動しており、週末にはボランティアが集まって各活動の情報交換を行っています。東ティモール赤十字社ディリ県支部の赤十字ボランティアは、救急法をより多くの住民に知ってもらうため、戸別訪問をして緊急時には適切な応急処置をすることの必要性を説明しています。また、同社ボボナロ県支部のボランティアは月に1回程度、小学校や中学校、公民館などで救急法の基礎知識を生徒や住民に伝えるなど、地道な活動を続けています。「農作業中に手を負傷した男性に応急処置を施して病院まで送り届けた。緊急時に周囲の人たちを助けられるから、今後も救急法をみんなに伝えていきたい」とボランティアは語りました。
東ティモールでは伝統療法が根強く残っており、住民が傷口をさらに悪化させる処置をしてしまうこともあるようですが、赤十字職員やボランティアがこの7年半にわたって、着実に救急法を普及した結果、受講者数は1万5,000人を超えました。
(上写真:救急法を学ぶ赤十字ボランティア)
■多言語国家ゆえの壁
一方で、救急法を普及するにあたって様々な課題も見えてきました。東ティモールは現地語のテトゥン語をはじめ、インドネシア語、ポルトガル語などが使用されています。年代により話したり、書いたりすることができる言語が異なるため、救急法の講習内容を適切に伝えることが難しく、誤って理解してしまう受講者もいると赤十字職員は話します。言葉の問題は本事業に限ったことではなく、東ティモールの国家全体に横たわる問題です。現在、東ティモールではポルトガル語を国語として学校で教育していますが、識字率はまだ高くないため、救急法のテキスト作成も課題となっています。「どのように受講者に伝えるのか、今後はイラストを使うなど、みんなが理解しやすいように工夫を重ねていきたい」と赤十字職員は今後の取り組みについて語りました。
(上写真:今後の課題を語る赤十字職員)
■事業の支援継続を決定
日本赤十字社は東ティモールの状況に鑑み、今後も救急法普及事業の支援継続を決定しました。テキストの作成や講師の育成、企業対象の有料講習の実施拡大など、取り組まなければならない課題は多くありますが、何よりも救急法のニーズがあること、そして活動を支えている赤十字ボランティアのモチベーションが高いことが、本事業の特徴となっています。
昨年末に首都の近郊で死傷者が多数発生する大きな交通事故がありましたが、赤十字ボランティアが現場で懸命に応急処置を行うとともに、国連機関と協力して医療施設に負傷者を搬送した結果、多くの命が助かったとの報告がありました。このように、発展途上にある東ティモールにとって、救急法は多くの命を救う大きな役割を果たしています。
日本赤十字社は、事業の効果が最大限発揮されるよう、東ティモール赤十字社と連携を取りながら、これからも活動を支援していきます。
(上写真:路上には元気よく遊ぶ子どもたちの姿が見られる)