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パキスタン北部地震復興支援:辺境に住む人々の生活再建に尽力

10/04/23

標高の高い被災地で地元スタッフと協議する大野駐在員

 2005年10月に発生したパキスタン北部地震は、死者7万3,000人を出す大惨事でした。発生から4年半を経た今も、国際赤十字は復興支援を続けており、日本赤十字社(日赤)は国際赤十字を通じて、被災者支援を行っています。
 2008年11月から1年半、生活再建や給水・衛生分野、教育分野の事業担当として活動に携わった日赤の大野龍男駐在員が2010年3月に任期を終えて帰国しました。

<写真>標高の高い被災地で地元スタッフと協議する大野駐在員(中央) (C)IFRC

水車小屋の動力を使って石臼で挽いた小麦粉を手にする赤十字ボランティア

■貧しくても高潔な村人たち
 パキスタン北西辺境州は山岳地帯で、標高2000メートル以上の険しい場所に村が点在しています。こうした村々は地震で壊滅的被害を受けましたが、車では行けないほどアクセスの悪い場所であったため、支援が行き届いていませんでした。国際赤十字はあえて、この地域で復興支援を開始しました。
大野駐在員は被災者の生活を再建させるにあたり、地元スタッフと住民代表との話し合いを大切にしました。そこで優先された事業の一つが、灌漑用水路建設です。用水路や穀物を挽く水車小屋の建設を進めながら、生産性向上を図る農業指導を各地で行いました。その結果、コメや小麦といった換金作物の栽培が可能となり、収入が増えました。時には村の人から挽いたばかりの小麦粉をプレゼントされることもありました。「この小麦粉で作ったナンを食べたときは、事業の成功を実感しました。」と大野駐在員は語ります。
 また、用水路の建設現場では、作業に参加する地元住民の姿がありました。赤十字の活動では住民に日当を提供し、積極的に活動に参加してもらうことがあります。しかし、被災地に暮らす人の中には灌漑施設そのものが地域の利益であり、自分たちの潤いとなる、という理由からあえて日当を受け取らない人もいました。

<写真>水車小屋の動力を使って石臼で挽いた小麦粉を手にする赤十字ボランティア (c)IFRC

今まで水道のなかった山岳地域に届いた水

 水供給と衛生教育支援事業では、険しい山岳部にパイプを引き、38カ所の村々に給水システムを設置しました。この水の恩恵を受けた住民は3万人にのぼります。水供給と同時に行ったのが住民の衛生知識の向上です。衛生教育を行うボランティアは住民の中から募り、188人が正しい衛生知識を普及させるため研修を受けました。男性・女性に分かれて委員会を立ち上げ、自分たちの住む村で衛生指導を行いました。
 パキスタンは2008年8月から治安が悪化し、一部の事業が中断する事態になりました。特に学校や職業訓練校などの建築再建事業は、治安悪化に加え、パキスタン独特の商習慣から現地の建設業者との連携が難しく、工期が大幅に遅れました。
 このような状況の中、2009年7月に男子中学校が完成し、震災後、テント校舎で授業を受けていた学生が新しい校舎で授業を受けられるようになりました。さらに、今年中には中学校2校や職業訓練校等が完成する予定です。

<写真>今まで水道のなかった山岳地域に届いた水 (c)IFRC

■復興支援の後が本当の自立のとき
 国際赤十字による復興支援は2010年度内で終了する予定です。しかしながら、パキスタン赤新月社は北部地震復興支援以外にも南部で発生した洪水救援(2008年)、治安悪化に伴う国内避難民救援(2009年)の対応に追われ、次の災害に備える余裕がありませんでした。
 これからは、よりスムーズに緊急救援を行えるよう日ごろから災害に備える活動と災害リスクを軽減させるための活動に重点を置いていく時期となりました。そして、赤十字は今後も、パキスタンの人々を支えていきます。

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