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スマトラ復興支援:地域でできる保健普及活動
09/08/03
スマトラ島沖地震・津波復興支援事業の現場、インドネシア・アチェ州ナガンラヤ県では、インドネシア赤十字社(以下「PMI」という)がボランティアの人材育成を通じて、地域に根ざした衛生教育や救急法を普及しています。この事業(Community Based First Aid、以下「CBFA事業」という)を、日本赤十字社では4年間にわたって支援しています。(写真:CBFA対象村までは舗装されていない道を通ることも多い)
ナガンラヤ県はスマトラ島の北西部海岸に面した県で、面積は東京都の約1.5倍、約12万人が暮らしています。2004年12月26日に発生したスマトラ島沖地震により県南部の沿岸部では津波による被害、そして県北部の山岳部では地震による被害を受けました。またアチェ州は30年来、インドネシアからの独立を求めて激しい内戦が繰り広げられた経緯があり、2005年に平和合意に至っていますが、まだ内戦の爪あとが残る地域でもあります。
CBFA事業はナガンラヤ県の10村で展開され、この事業で育成されたPMIのボランティアが中心となって事業を行っています。PMIナガンラヤ県支部では、2007年から2009年3月までに延べ130人のCBFAボランティアを育成しました。ボランティアはPMIのプログラムを基に育成され、そのトレーニング内容は救急法、病気や怪我の基礎知識と予防法、衛生知識と技術、そしてコミュニケーション技術やこころのケアの技術など、幅広い分野にわたります。(写真:マラリア蚊発生源の汚水や、村内の交差点などを地図に書き込み、清掃や交通事故にかかる意識啓発など、村でのCBFA活動にこの地図をどう役立てるか勉強するボランティアたち)
育成されたボランティアは皆ナガンラヤ県の村民たちです。それぞれの職業は看護師や助産師といった医療職から、教師、農民、主婦など様々ですが、みな一様にCBFAの活動に関心と理解があり、ボランティアとして活動に参加したいという高いモチベーションをもっています。今年3月に行ったトレーニングに参加したルスミさん(30代女性)は「村の生活に必要な基礎保健の知識を得ることができたこと、そして同じ志をもった仲間に出会えたことが嬉しかった」と語っていました。このようなボランティアの育成が実を結び、2009年1月から6月にかけてCBFAボランティアによって実施された村での活動総数は、385件に増加しました(2008年3月から9月では187件)。村でのCBFA活動は、地域の小中学校に出向いての保健普及活動や地域の市民清掃の指揮、さらには救急法の実演など、多岐にわたります。2008年に比べて2009年上半期は特に清掃活動や学校保健教育の活動数が飛躍的に伸びました。ボランティアはこれら活動の計画を立てるところから、活動の実施、そして実施レポートの作成までを行っています。
今年はCBFA事業実施の最後の一年です。今まで3年間にわたりボランティア育成に力を入れてきましたが、今年は育成されたボランティアによる村での活動に力を入れ、事業終了後もボランティアたちが知識や技術を引き続き村人へ普及・浸透させていけるような支援に移行しています。
CBFA事業では現在CBFA ポスコ(ポスコとはインドネシア語で『集合場所』という意)と呼ばれる“ボランティア集会場”を建設しています。将来CBFA活動が村でもっと活発になり、ポスコがボランティアの活動拠点となり情報発信源として機能することを目指しています。今後のCBFA活動を見越した日赤の支援に対し、PMIナガンラヤ県支部の理事ザフリルさん(40代男性)は「ポスコはCBFAの持続・発展を促すための大事な土台だ。ほかの支部にも広げていきたい」と意欲を見せています。ポスコの建設は村民の参加とイニシアティブを重視して行われています。村長を委員長とした村の保健委員会にその中心的役割を担ってもらい、建設地の提供や、建設作業員の選出、材料の調達先の決定や価格交渉、完成後のポスコ使用計画作成などを経て建設されました。村がイニシアティブをとることで、村民の中にこのCBFA事業は自分たちの事業だという意識が生まれており、村の予算を使って窓材を改修するなど、独自の投資、工夫が見られ、村民のポスコにかける意気込みが伝わってきます。(写真:村民が決めた土地で、村民の工事作業員が設計に基づいてポスコの建設を行いました)
日赤のCBFA事業支援は2009年末で終了します。しかしCBFA活動は今後もPMIを中心に村を拠点として続ける活動であるため、日赤は中長期的に支援効果が事業地で続くよう配慮をしながら一つ一つの事業を丁寧に実施していきます。