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国際赤十字が「世界災害報告2009」を発表
09/06/29
国際赤十字は16日、世界各地で発生する災害とその要因・対策等をまとめた「世界災害報告2009(World Disaster Report)」(年鑑)を発表しました。
国際赤十字のベケレ・ゲレタ事務総長はプレスリリースの中で、「気候変動による災害の脅威に対しては、今日の世界経済危機と同等の世界的な対応が必要だ。」と述べ、災害が起こってからの救援活動ではなく、その予防活動にもっと力を入れる必要があることを強調しました。さらに、「災害は地域住民が災害に対応できなくなったときに災害となる。世界で最も貧しく、脆弱な人々がこの災害の危険に最も晒されているのである。」と述べました。
本報告では地域住民を中心とした早期警戒(Early warning)と早期行動(Early action)の重要性を強調し、中長期的に人々の災害に対する「抵抗力」を強化する必要性が強調されています。
■ 昨年の災害による死亡者は23万人超、被災者は2億人以上!
本報告によれば、2008年に把握している自然災害は326件で、人的災害は259件でした。これは過去10年間の災害報告件数で最も少なかったものの、自然災害による死亡者数では、過去10年間で最多の死亡者を出した2004年(24万1,635人。主にスマトラ島沖地震・津波が起こったことが原因。)に次ぐ規模となりました(23万5,736人)。
この死亡者のうち93%は、昨年5月2日にミャンマーを襲った大型サイクロン「ナルギス」(死者及び行方不明者13万8,366人)と同年5月12日に中国四川省を襲った巨大地震(死者及び行方不明者8万7,476人)で占められています。
昨年の自然災害による被災者総数は2億1,300万人で一昨年とほぼ同じだった一方、人的災害による死亡者は過去10年間で最も少ない6,926人で、そのうち75%は輸送事故(空輸、道路、水)によるものでした。
■ 国際赤十字の取り組み 他機関との協力
本報告で強調されている「早期警戒、早期行動」を可能にするために、国際赤十字は様々な取り組みを行っています。
早期警戒に基づいて、各国赤十字社・赤新月社が避難行動や緊急支援等の早期対応が取れるように災害救援緊急基金(DREF:Disaster Relief Emergency Fund)という仕組みを活用しているのはその一例です。最近では、小・中規模の自然災害、特に洪水の発生件数が増加しているため、このDREFの拠出額が増加傾向にあります。
2004年までは年間約5億円以下であったDREFの拠出額は、2006年には約10億円、2007年には約12億円、そして昨年は約16億円まで上昇しました。世界的に気象関連の災害が増加傾向になる中で、国際赤十字は今後もこの傾向は続くと想定しており、国際赤十字には各国赤十字社・赤新月社からDREFによる継続的な支援の依頼が寄せられています。
また、国際赤十字は2002年に赤十字・赤新月気候センター(Red Cross/Red Crescent Climate Centre)を設立し、各国赤十字社・赤新月社の災害に対する早期警戒、早期行動を支援するための研究に取り組んでいます。さらに、気候と社会に関する国際調査機関(IRI:International Research Institute for Climate and Society)や米国航空宇宙局(NASA:National Aeronautics and Space Administration)、国際地球科学情報ネットワークセンター(CIESIN:Center for International Earth Science Information Network)と協力して、情報収集や情報交換をしているほか、マラリア早期警戒システム(MEWS:Malaria Early Warning Systems)を使ってマラリア発生の早期警戒及び早期行動に取り組んでいます。
このような早期警戒システムは災害予測に関する情報提供の仕組みや対応体制が整備され、各国政府や援助機関の災害対応能力が強化されてこそ意味があります。本報告では、「災害発生への対応は、その予防にかかる経費の四倍だ。」と述べ、世界は早期警戒システムを最大限に活用して適切な早期行動を取ることが最も重要であると強調しています。
「世界災害報告2009」の原文は、こちらのサイトよりご覧いただけます。(英語)
http://www.ifrc.org/publicat/wdr2009/summaries.asp
「世界災害報告2009」(仮訳)
第一章:早期警戒と早期行動-導入
第二章:早期警戒―人々を中心としたアプローチと「ラストマイル」
第三章:早期警戒と早期行動、タイムスケールの架け橋
第四章:気候変動―早期警戒
第五章:食糧の安全保障―早期警戒のあとにどのような早期行動を取るべきか?
付記1:災害統計
付記2:災害リスクの低減行動に関する前進