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中国大地震:悲劇から1年過ぎた今、現地では

09/05/07

2008年5月12日の午後2時28分、一瞬にして約8万7000名もの尊い命を奪った中国四川省を震源とする大地震から間もなく1年が経ちます。

中国政府は昨年9月に、インフラ、公共施設、住宅の再建を中心とする3年間で16兆円規模の復興支援計画を発表し、同時に沿岸部の裕福な省や市がGDPの1%以上を用いて、被災した地区をそれぞれ1地区ずつ受け持って3年間支援する(例:山東省→北川県)方針も打ちだし、復興を牽引しています。

日本赤十字社も昨年10月から被災地に駐在員を派遣し、日々変化していく被災地の状況と向き合いながら、中国紅十字会(中国の赤十字社)及び国際赤十字とともに、主に越冬支援、学校、病院、住宅の再建支援に取り組んできました。これまでの赤十字全体による被災地への支援は約620億円相当にのぼり、復興支援はいよいよ本格化しています。

本レポートでは、緊急救援期から今日にいたるまでの復興の足取りをたどりながら、被災地の今についてお伝えします。

■家を失った被災者への支援
(写真:2009年3月家の前に立つ李さん。「この家の生活は不自由があるけど、それを不満に思わないようにしているわ」四川省綿竹県 ©日本赤十字社)

地震直後は、家を失い、余震に怯える被災者のためのテントの確保が急務で、被災地には国内外から160万張のテントが届けられました。そのうちの10万張は各国の赤十字・赤新月各社の支援によるもので、日本赤十字社はそのうち9,405張のテントを届けました。
その後、中国政府は、目を見張る速さで都市部を中心に約66万の仮設プレハブ集合住宅を建設しました。一方、多くの被災者が住む山間の農村部では、交通の便が悪く、人々が農地の近くに点在して住んでいるため、プレハブは建てられず、各自がテントや廃材を組み合わせた簡素な家で冬を迎えるという厳しい状況も生まれました。これに対し、日本赤十字社は越冬支援として、約8万7000名の被災者に布団と防寒服を届けました。

現在は、家の再建に着手し、完成間近の世帯もある一方で、再建資金の不足から、未だ工事を開始できない人も多数います。住宅再建のための政府からの補助金だけでは不十分で、元々経済的に厳しい上に、建築資材の高騰や、耐震基準を満たすための施工費の上昇などの負担が被災者に重くのしかかっています。これに対し、赤十字全体では合計7万世帯の住宅再建の支援を進めており、既に1万2000世帯が完成しています。国際赤十字も莫大なニーズに対して限られた資金の中で、できるだけ公平な支援を進められるよう、地元政府との調整を急いでいます。

■学校の再建
(写真:2009年4月 日本赤十字社の支援で完成した学校第1号。陝西省城固県 ©日本赤十字社)

今回の地震では学校の倒壊により、多くの生徒、教員の犠牲者を出したことが大きく報じられました。また、倒壊しなかった多くの学校も、耐震基準に照らして危険と判断されたものは取り壊されたため、現在も多くの学校は仮設のプレハブなどで授業を行っており、あちこちで学校の再建が進められています。

現在の仮設施設の状況は地区の経済状況や外部支援の有無により左右され、比較的設備の整ったプレハブ校舎もあれば、残された建物で、瓦礫の中から拾い出したボロボロの机や椅子を使っているところもあります。また、中国では生徒が学校敷地内で寄宿するのも一般的で、生徒の宿舎や食堂も被災したために、狭いプレハブ宿舎に生徒が密集して暮らしているケースも多く見られます。

赤十字全体では450の学校の再建を進めており、日本赤十字社も被災した3省で14校の学校の再建を支援しています。今年4月には3省それぞれで生徒達も交えた学校再建の鍬入れ式が行われ、再建工事が本格化しています。また、仮設の環境が特に厳しい状況にあった陝西省の学校は一足早く再建が進められ、完成した学校第1号には生徒達の元気な笑顔が見られました。
日本赤十字社は被災した生徒達が一日も早く安心して健やかな学校生活を送れるよう、これら学校の再建工事の過程を見守っていきます。

■病院の再建
(写真:2009年4月 甘粛省徽県の入院患者。新しい入院施設が待ち望まれる。©日本赤十字社)

学校と同様、再建が急がれるのが病院などの保健施設です。
病院も危険と判断された多くの建物が取り壊され、現在も多くの病院がプレハブ施設や残された建物などで診療や入院患者に対処する厳しい状況が続いています。仮設の施設は従来施設ほどの設備や収容能力がないために、入院患者が一部屋に大勢いたり、患者が屋外で診療を待っているような厳しい状況が見られ、これから迎える夏に向けて、仮設プレハブ施設は大変暑く過ごしにくくなるために、患者への更なる負担が懸念されます。

このような状況に対して、赤十字全体では1,500の病院の再建を進めており、被災した各省で工事が進められています。日本赤十字社は59箇所の病院、クリニックの再建を支援しており、今年4月に各省で起工式が行われました。これらは概ね1年で完成する予定で、完成後はさらなる医療資機材の支援等も検討しています。

 地震から一年、まだまだ元の暮らしからはほど遠い状況にある被災者の今ですが、少しでも状況が改善され、被災者がより安全に、安心して暮らせるよう、赤十字は引き続き被災者とともに息の長い復興支援に取り組んでいきます。

中国大地震復興支援デスク 杉山悦子

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