ホームページ > 国際活動TOP > ニュース一覧 > スマトラ沖地震・津波復興支援4周年を迎えて その1 コミュニティが得たものは
ニュース
スマトラ沖地震・津波復興支援4周年を迎えて その1 ~コミュニティが得たものは~
08/12/24
インドネシア・スマトラ島のアチェ州。日本赤十字社が4年間かけて実施してきた復興支援事業の貢献が、少しずつ現れてきました。
2004年12月26日に発生し、世界で死者・行方不明者22万人を出したスマトラ島沖地震・津波災害。日赤は発災直後から、震源に近いスマトラ島西岸のアチェバラ県に基礎保健ERUを派遣し、仮設診療所の設置や巡回診療、予防接種等の緊急医療活動を実施して、のべ1万人以上の診療を行いました。しかし被害があまりにも甚大だったことから、引き続き被災者の住宅再建や衛生環境の改善に取り組んできました。
アチェバラ県ウォイラ郡にある、人口約200人のグノンランプン村。この村には水道がなく、飲み水は1km以上離れた川まで汲みに行くか、雨水を集めるしかありません。水の質が悪く量も少ないことが、かねてからの問題でした。そこで日赤は地元インドネシア赤十字社と共同で、2008年6月からグノンランプン村を含む同地域の6村で飲料水用深井戸掘削と衛生促進活動を行ってきました。
10月、完成した深井戸が村へ引き渡されると、村人は自分たちで会議を開き、全世帯が深井戸の水を使うことができるように、テントや結婚式の飾りつけの貸し出し、ゴム畑の貸出料などで得た村の共同収入を利用して給水システムを構築することにしました。深井戸から道路沿いに設けた給水ポイントまでの配水管代は村が負担し、その先の各住宅までは各世帯が自分たちでパイプを買って水を引くことにしました。自己負担額は各家庭1,000円~2,000円程度。一食100円に満たない現地の物価水準で、このお金を捻出することは決して楽ではありません。しかし、「村にひとつの深井戸から水を家まで運ぶのが大変でしたが、今は主婦たちも家に居ながらきれいな水を手に入れることができるので、家事がずっと楽になりました」「仕事が忙しくて、昼間水を汲みにいけなくても、今は夜も飲料水を確保することができるので、とても助かっています」「ポリタンクに飲料水を貯めなくてもいつでも飲料水が傍にあってとても衛生的です」と、日赤が供与した深井戸がきっかけとなり、予想以上の効果を住民にもたらすことができました。
さらに、給水パイプを設置し、地面に埋める作業は、村の人たちが「ゴトンロヨン」で2日間かけて行いました。「ゴトンロヨン」とはインドネシア語で相互扶助を意味します。みんなが無償で一緒に農作業をしたり、村のモスクを建てたり、冠婚葬祭を行うとき等に使われ、とても日常に溶け込んだ言葉です。しかし、地震・津波によって多くの村人が亡くなり、沿岸部の住民が内陸に移動したためコミュニティが一変した場所もあるほか、外国からの大規模な援助で様々な「モノ」が提供された結果、ゴトンロヨンの精神が以前よりも弱まっていました。
そこで日赤はインドネシア赤十字社と相談して、衛生促進活動の中で特にゴトンロヨンの重要性を村人に強調するとともに、深井戸建設終了後は井戸周辺に排水溝を作ったり、週1度コミュニティ清掃日を決めて井戸周りの草刈りをするなど、ゴトンロヨンを促す活動を意識的に作り出してきました。こうした取り組みの結果、我々の想像をはるかに超えた今回の村人の自発的な取り組みにつながりました。この活動の村での貢献は、村人の次の言葉に表されています。「これまでに、こうした大規模な村インフラ工事を自分たちで行ったことはありませんでした。ゴトンロヨンで行ったのは、せいぜい排水溝を作る程度。でも、今回の作業を通じて村人にも達成感と自信が生まれました。次は、村の境界線からゴム畑への道(2.5km)を、またゴトンロヨンで作りたいとみんなで話しています。」
住宅の再建や井戸の設置は被災地の復興にとって非常に重要ですが、地域の状況を改善するためには、外国からの支援だけでなく、地域住民の理解と自発的な取り組みが欠かせません。現状では、すべての村が必ずしもグノンランプン村のようなわけではありません。しかし、今回の成功例を励みに、日赤は今後もコミュニティの自発性を促しながら、津波復興支援を2010年3月まで実施してまいります。