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日赤看護師・助産師が出会った人々
~ジンバブエにおけるHIV・エイズ対策事業~
08/02/14
■ エイズ治療薬はある。でも・・・
桜井亜矢子看護師による報告
(前橋赤十字病院、2007年5月21日から11月20日にマショナランド・ウェスト州にて活動)
HIV感染者やエイズ発症者などで在宅看護のケアを受けている患者さんの中に、ザンビア出身の40代の女性がいます。彼女は1年以上前から毎月ザンビアに行き、エイズウイルスの増殖を抑える抗レトロウイルス薬(以下、ARV)を処方してもらい内服しています。以前、彼女を家庭訪問したとき、ARVを飲み忘れることはないかと尋ねたところ、「絶対に忘れない。これは、命綱だから」と真剣な表情で答えていました。
それから1か月、再び彼女の自宅を訪問したところ、彼女の顔の皮膚がやや黒ずみ、硬くなっていました。彼女にARVをきちんと飲んでいるか尋ねたところ、毎日欠かさず飲んでいると答えてくれました。ところが、「今日は飲みましたか?」の質問に彼女はうつむいてしまいました。すでに11時を過ぎています。本来であればとっくに飲んでいなければならない時間です。
「この薬は決められた時間に飲むように言われませんでしたか?」と確認すると、「薬をきちんと飲まなければ死んでしまうのはわかっている。しかし、この薬は空腹時に飲むと副作用がひどく耐えられないので、必ず食後に飲むようにしている。今日は食べるものがなくて、朝から食べ物を探しているがまだ手に入らないので飲めずにいる…。私だって早く薬を飲みたい…。」涙ぐむ彼女を前に、私は返す言葉が見当たりませんでした。
■ 農作物も成績表も見て欲しい
青柳幸子助産師による報告
(葛飾赤十字産院、2007年6月24日から12月15日にマショナランド・イースト州にて活動)
田舎道を自動車で走っていたときのことでした。後から私たちを追いかけて走ってくる男の子がいました。男の子の名前はアルフィジオ、年齢は12才。両親を3年前に亡くし、今は一人で生活しています。両親がエイズで亡くなったときに親戚の家に引き取られましたが虐待を受け、今は両親とともに過ごした家に一人で逃げ帰ってきたというのです。
彼は、ジンバブエ赤十字社のボランティアによって「エイズ孤児・社会的に脆弱な立場にある子ども」(OVCと呼ばれます)の一人として登録されました。彼は赤十字のスタッフを見ると嬉しそうに、「玉ねぎが育ったから帰りに僕のうちに寄ってよ!」といいました。学校が終わったこと、元気に生活していることも嬉しそうに話してくれました。
玉ねぎの種は赤十字の食糧支援で配給されたものです。彼が一人で育てた玉ねぎはとても立派なものでした。帰りに袋いっぱいに私たちにくれた彼に、「(私は)受け取れないよ」と言うと、ジンバブエ赤十字社のスタッフが「受け取りなさい」と言います。「ありがとう」と私が言ったときの彼のはにかんだ笑顔を、私は忘れることができません。電気も水道も整っていない地域で、真っ暗な夜を一人で過ごし、学校に行きながら畑仕事をしているのだと思うと涙がこぼれそうでした。
大人がHIV/エイズに罹ると、その影響をもろに受けるのは子どもです。赤十字はこのよう子どもたちに対し、学費や制服、文房具、石鹸、食糧等の配給などを行っています。子どもたちは学期が終わると、自分たちの成績を報告するため赤十字の事務所を訪れて、感謝の気持ちを表してくれます。赤十字のスタッフがこうして子どもたちの成長を見守っている様子はとても印象的でした。
まだまだ支援は十分ではありません。多くの課題もあります。でも、確実に救われている人々がいます。これからもジンバブエに対する支援が継続され、近い将来、ジンバブエ赤十字社が自立して活動できる日を願ってやみません。