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救援救護活動_国際
(速報8)パキスタン洪水:下痢や脱水症状に苦しむ人たち
10/09/10
~現地からの報告~
パキスタン洪水被災地で医療支援を行うため、8月20日に日本を出発した河合結子看護師(大阪赤十字病院)は、パキスタン南部のシンド州で18人からなる多国籍の医療チームの一員として活動しています。
河合看護師から届いた現地からの報告をお伝えします。
<写真下>パキスタン全土で1,000万人が住居を失った
■ 河合看護師からの報告
9月1日(水)
パキスタン赤新月社カイルプール支部(シンド州)が支援している避難民キャンプの調査を行いました。この辺りは一見、湖かと思うほどひどく浸水しており、今でも深さ1メートルはあります。この地域で生活していた人々は、高台に避難してテントを張り、援助団体からの水や食料、トイレなどの支援を受けてなんとか避難生活を続けている状態でした。ゴムボートでさらに奥の村に入ったところ、一番問題となっているのは被災家屋の修復でした。健康上の懸念は下痢とマラリアです。水溜りにはボウフラが発生しているため、マラリア感染の危険性があり、マラリア検査と治療、衛生教育のニーズは高いように感じられました。また、蛇に咬まれたという報告は多くありませんが、川や家屋に潜んでいることから、今後被害に遭う可能性は十分あります。
<写真下>脱水症状を防ぐため、子どもに経口補水塩を服用させる河合看護師(中央:赤いストールの女性)©IFRC
9月2日(木)
宿泊しているカイルプールの宿舎から20分ほど車で行ったところにある学校で、診療を行いました。この学校では350人が避難生活を送っています。ノルウェー人の医師とカナダ人の看護師と共に、近隣の住民を含む190人の診療を行いました。
下痢、脱水症状、眼・耳鼻感染症などの疾病が目立ちましたが、コレラやマラリアの症例はありませんでした。この学校では蛇口から水が出るため、生活用水はある程度確保されており、不潔な水環境による皮膚病は多く発生していませんでした。しかし人口が密集している上に、40度を超える気温と高い湿度により、避難民の表情は疲れ果て、険しい面持ちでした。患者の多くは女性や子ども、老人で、男性は外出しているためか患者数は多くありませんでした。また妊婦も多く、14件の助産師外来がありました。貧血や脱水状態の妊婦には高カロリービスケットや経口補水塩、鉄分を補給する薬を提供しました。
巡回診療では、薬剤を処方する際、患者一人ひとりに丁寧な薬剤指導を行うほか、現地購入した経口補水塩を配付しました。どこの避難民キャンプも同じですが、排水溝がないため汚染した水溜りが出来、散らかったゴミにはハエが集っています。
この学校では9月中旬に新学期が始まるので、近々避難民は移動せざるを得ない状況です。帰還先のない人々は、パキスタン赤新月社が新しく建設中の避難民キャンプに移動する予定です。
<写真下>病院に救急搬送された低栄養状態の子ども ©IFRC
9月3日(金)
250人が避難している学校で診療活動を行い、170人を診療、助産師外来は9件ありました。州北部のジャコババードやシカルプールから避難してきた人が大半で、15歳以下の子どもが半数を占めていました。ここでの疾患の傾向も、下痢と皮膚病です。現地NGOが医療や食料、生活用品に至るまで支援を行っていましたが、十分な量を満たしておらず、子どもや妊産婦、老人は低栄養や脱水状態にありました。中でも妊婦2人はやや重症で、彼女らの子どもも低栄養状態だったため、近隣の病院に救急車で搬送しました。
9月4日(土)
パキスタン赤新月社が支援する避難民キャンプで170人を診療、18人が助産師外来を受診しました。このキャンプの避難民も北部ジャコババードから逃れてきた人たちです。キャンプ運営はきちんと行われており、パキスタン赤新月社および現地NGOによる定期的な物資配付が行われていました。このキャンプには現地の医師が毎日診察に来ており、栄養失調の患者はいませんでしたが、脱水症状や避難する以前からの皮膚病が悪化している患者がいました。
9月5日(日)
250人が避難している学校に行き、現地医師と共に、近郊の住民も含め230人の診療、10人の妊婦検診を行いました。ここでも主な疾患は皮膚病、下痢、脱水です。
避難所には政府からの食料配付が届いているものの150人分しかなく、物資の供給や生活上の不満を訴える人々を多く見かけました。これらの人々は学校の再開に伴い、数週間以内に近隣の避難民キャンプに移動する予定です。ここでは、微生物学医師でもある赤十字ボランティアの協力を得て、被災者の前で正しい手洗い方法を実演し、緑茶による手洗いの効果を説明しました。それに伴い、石鹸とスポンジの配付も行いました。
■ 今後も続く緊急支援
9月上旬、パキスタンではイスラム教徒にとっての断食月(ラマダン)が明け、各地でお祭りが開かれる時期を迎えますが、被災者の置かれる状況は依然として厳しいままです。赤十字は今後も被災者のニーズに合った支援活動を続けていきます。
