(速報)フィリピン水害 ~度重なる災害に立ち向かう人びとへの支援

冠水するメトロマニラ

冠水するメトロマニラ ©IFRC

フィリピンは、モンスーンの影響による大雨に頻繁に見舞われ、また多くの台風の発生・通過地点となっているため、毎年水害が発生しています。

今年も、8月12日にルソン島を通過した台風11号(英語名:Utor)により、11人が死亡、2万1000戸の家屋が損壊するなどの被害が発生しました。

その救援活動がようやく軌道に乗りかけた折、再び18日夜から、モンスーンに加え台風12号(英語名:Trami)の影響で強さを増した大雨が5日間降り続け、メトロマニラ(マニラ首都圏)は冠水。さらに22人が死亡、約290万人が被害を受けるという深刻な事態となっています。

いつになれば自宅へ戻れるのかわからず、不安を募らせる避難所のお年寄り

いつになれば自宅へ戻れるのかわからず、不安を募らせる避難所のお年寄り ©IFRC

洪水のピーク時には80万人が避難を余儀なくされ、避難所や親戚宅などに身を寄せていましたが、現在メトロマニラでは水が引き始めており人びとは徐々に自宅に戻り始めています。

しかし、周辺地域では通常の状態に戻るまでに数週間を要すると見られ、今もなお約6万3500人が避難所に留まっています。

フィリピン赤十字社(以下、フィリピン赤)は、これまでの水害対応の経験を生かし、被害が甚大になる前の早い段階で、特に低地や河川付近に住む人びとに携帯電話のメールやフェイスブックなどのソーシャルメディアを活用して避難を呼びかけ、避難所情報を流すと同時に、避難所に集まった人びとに食事を提供してきました。

また洪水の被害が拡大すると直ちに、救助ボートや水陸両用車などを用いた救助チームを派遣し、捜索・救助活動にあたりました。

避難所の赤十字による「子どもサポートセッション」で、お絵描きにより洪水の体験を表現する子どもたち

避難所の赤十字による「子どもサポートセッション」で、お絵描きにより洪水の体験を表現する子どもたち ©IFRC

現在は徐々に活動の重点を、食糧・生活用品の配付、保健・衛生支援、また損壊家屋の補修や生計再建に向けた支援などの活動へと移しています。

日本赤十字社も被災者支援に協力

悪路の中、村々を訪問

悪路の中で村々を訪問

日本赤十字社(以下、日赤)から派遣している2人の保健要員はこれまで、フィリピン赤の職員とともに、台風11号の被災地域で被害調査と救援物資の配付などに協力してきました。

彼女たちは、土砂崩れ後の悪路を通り、車両が入れない場所へも吊り橋を渡って徒歩で向かいました。

また地元のオートバイタクシーを駆使して物資を運び、山間部の村々などアクセスが悪く支援が届きにくい地域へも、食糧や衛生キット・マットレス・毛布などの生活用品を配付して回りました。

救援物資を手渡す山並助産師

救援物資を手渡す山並助産師

キリノ州アグリパイ郡で活動した山並助産師(諏訪赤十字病院)はこう語ります。

「アクセスの難しい村への援助の困難さに加え、(より深刻な被害を受けた世帯から優先的に物資を配付せざるをえないので)被災者の間で不公平感が生まれてしまうという難しさに直面しました。しかし、村人をよく知る赤十字の地域保健ボランティアが活動の中心を担っているため、(村人の理解も得られ)大きな問題なく終えられました」

経口補水塩の作り方をデモンストレーションする津田看護師

経口補水塩の作り方をデモンストレーションする津田看護師

オーロラ州のカシグラン郡、ディサラグ郡で活動した津田看護師(姫路赤十字病院)は、「ディラサグの被害総額は、家屋、インフラ、農作物などを総計して約1億1700万円相当と予想されています」と話します。

「ある村で出会った地域ボランティアが芋を食べていたので聞くと、全く米がなく、食べ物はこの芋とバナナだけだと言っていました。翌日、その村ではフィリピン赤十字社オーロラ州支部から届いた支援物資のパンを配付しました」

28日から彼女たちは順次、台風12号の影響による大雨の被害が特にひどかったブラカン州、パンパンガ州、バターン州、ラグナ州、カビテ州などに入り、状況やニーズなどの調査を行う予定です。

彼女たちが持ち帰ったデータを元に、フィリピン赤十字社による今後の活動計画が組み立てられます。

国際支援により救援活動を加速化

国際赤十字は、被災者の人道ニーズを満たし、そして彼らが元どおりの生活を取り戻していくのを支援するため、国際社会に向けた支援要請アピールを発表しました。

このアピール資金は、1万1500世帯を対象とした食糧配付や世帯別のニーズを満たすための現金支給、1万5000世帯を対象とした、感染症を防ぐための衛生教育や安全な水の供給、また500世帯を対象とした損壊家屋の補修に必要な資材・道具または現金の支給といった、フィリピン赤による救援活動に充てられます。

日赤はこの要請に対して約600万円の資金援助を行う予定です。さらなる状況調査に基づき、今後断続的に続くと見込まれるモンスーンによる暴風雨被害への迅速な対応を可能とするために、支援要請が拡大される見込みであり、その場合は追加支援を行うことにしています。