シエラレオネ、地域に根付いた保健衛生活動

アフリカ西部の国シエラレオネでは、2012年8月より、コレラが大流行しました。国際赤十字・赤新月社連盟(連盟)は、日本を含む6カ国の赤十字社からなる医療チームを2カ月間派遣。日本赤十字社からは医師を1人派遣し、被害の深刻な地域で診療活動を展開しました。感染ピークが過ぎた後も、連盟はコレラ発生予防を目的に中・長期的な活動を続けています。

今回は、2012年9月から保健衛生活動に関わる要員として現地に派遣されている吉田 千有紀 看護部第三外来看護師長(日赤和歌山医療センター)より、活動の様子をお伝えします。

200万人のスラム、コレラの発生源に

「アポト・マモゥ!(白い肌の人、ありがとう!)」

私たちが活動していると、よくこんなふうに声をかけられ、「シエラレオネの人々は、海外から来た人を快く受け入れてくれる穏やかな国民だな」と感じます。

その一方で、この国では1991年から11年にわたる紛争がありました。国を立て直す十分な力がないため、国連などの開発援助を受けています。現在も首都フリータウンでは200万人もの人が衛生状態のよくないスラム化した地域で生活しており、大流行したコレラの発生源にはこのフリータウンも含まれていました。

コレラの症例数はピークを過ぎたとはいえ、発症報告はいまだに聞かれます。また、10月から乾季に入っており、水不足のため住民が汚染された水源を生活・飲料用水に使用する機会が増えて、下痢やマラリアをはじめとする寄生虫症も懸念されます。

赤十字ボランティアによる活動、住民の行動意識に変化を

赤十字ボランティアと水衛生委員会が修理した共同井戸

私は、シエラレオネ赤十字社の保健チームと共に村を巡回し、水や衛生に関連する健康教育とコレラの疑いのある症例調査、ボランティアへの教育を続けています。

先日、私たちの支援するボンバリ県マソンボ村を訪れました。86世帯が住むこの村には共同井戸が一つしかなく、あるときその手押しポンプが老朽化で壊れてしまいました。そこで、村に住む赤十字ボランティアが中心になって村の「水衛生委員会」を立ち上げ、ポンプの修理を行いました。

吉田要員(右)のインタビューに応じるサンパさん(左)と息子さん(中)

また、コレラの疑いのある村人が増えた時期には、ユニセフが作成したコレラ予防教育ビデオを使った予防教育活動も行われ、住民は応急処置や衛生的な水の処理法を積極的に学んでいます。

住民の一人で水委員会の委員でもあるサンパさんは「井戸の手押しポンプが壊れ、住民は池や川からよどんだ水を汲んできて飲料水にしていました。そのせいか、一時期コレラの疑いのある村人が30人を超えてしまいました」と振り返ります。

「私たちのような貧しく援助の行き届いていない村はいたるところにあります。この村へ赤十字の人々が井戸の修理や衛生教育など支援を届けてくれることに感謝の気持ちでいっぱいです。私も、衛生的な水処理やトイレの使用法など学んだ知識を活かして、他の村の人々へ技術的な協力をしていきたいです」と思いを語るサンパさんの話から、住民たちの意識変化がうかがえます。

小学校の衛生教育に集まる子供たち

届け、赤十字のメッセージ

シエラレオネ赤十字社は、現在、災害や伝染病に対応できる地域づくりを目指して、国内14県において、3つの分野で伝染病予防活動を行っています。

経口補水塩供給所を拠点に、地域ボランティアによる健康教育活動、モニタリング
水衛生委員会活動の技術支援
ラジオ、携帯電話による健康教育メッセージの普及

住民向けの健康教育活動

私たちの願いは、村の隅々まで赤十字の健康教育メッセージが配信され、住民の健康意識が高まり、よりよい行動がとれるようになることです。

こちらは水不足の季節に入りました。日本は安全な水がいつでも簡単に手に入ることをありがたく思うとともに、シエラレオネへの長期的な開発支援の必要性を痛感しています。