(速報4)シエラレオネ コレラ流行~日赤医師による帰国報告、新たに医療スタッフの派遣決定~

シエラレオネ共和国で7月から発生したコレラの流行に歯止めをかけるため、日本赤十字社(以下、日赤)は資金援助に続き、8月31日から和歌山医療センターの大津聡子医師を現地に派遣。フィンランド赤十字社(以下、フィンランド赤)のチームとともに、慢性的な医師不足の同国で約15日間にわたる診療活動を展開しました。

大津医師は9月17日に帰国。今回の救援活動で直面したシエラレオネの医療の問題点や今後の支援のあり方について報告しました。

地元医師ゼロ、コレラ以外の患者も運び込まれ幅広く対応

嘔吐、下痢症状を訴える患者をすべて診察する大津医師 ©Finish RC

嘔吐、下痢症状を訴える患者をすべて診察する大津医師 ©Finish RC

国連の統計上、最貧国の一つに数えられるシエラレオネ。男性の平均寿命は47.5歳、女性は49.4歳となっています。

国による公衆衛生の仕組みはあるものの、それを支えるインフラは10年以上続いた内戦で壊滅的な状態です。安全な水やトイレの不足が深刻です。

今回のコレラ流行についても、雨季の洪水でトイレの汚水が溢れ出し、飲料用に使っている井戸水が汚染されたことが一因に挙げられます。

「医師不足も深刻な問題で、今回診療活動を行ったマケニ県立病院のコレラ病棟には地元の医師が一人もいませんでした。日々の診療はすべて看護師が担っている状況で、派遣期間中は私とフィンランド赤の医師2人ですべての患者を診察しました」と大津医師は活動を振り返ります。

注射の針にじっと耐える我慢強い子ども ©Japanese RC

注射の針にじっと耐える我慢強い子ども ©Japanese RC

派遣期間中、コレラ病棟に入院した患者は165人。実はシエラレオネではコレラの定義がとても広く、「嘔吐や下痢の症状があるからコレラだ」と次々に患者が運び込まれてきます。

中にはマラリアや結核患者も多く含まれており、そのすべての診療を行った大津医師。

「紙カルテを管理する習慣もないので、患者の正確な統計がなかなか取れません。分析できるデータがなければ、客観的な提言ができないので改善が必要です」と患者情報の管理という基本的な部分にも課題が多いと語ります。

また、シエラレオネでは医療費を全額免除されるのは5歳以下まで。「私が薬を処方しても金銭的な理由から、『伝統的な薬を飲む』と言って退院される方もいました」と医療制度が整っていないことで、救えるはずの命が失われる現実を伝えます。

高い住民意識、望まれる環境改善

住人が生活用水に使っている井戸。トイレの間近にあり衛生状態は悪い

住人が生活用水に使っている井戸。トイレの間近にあり衛生状態は悪い ©Japanese RC

患者数が減り、コレラ感染のピークも過ぎたころ、近隣県の村々へ調査活動に向かった日赤・フィンランド赤チーム。訪れた先でもコレラの症例は激減しており、散発的な発生が報告されるのみでした。村での衛生教育も行き届いている様子です。

「村では、コレラに感染しマケニ病院に入院していた女性を訪問しました。すっかり回復した彼女は、入院期間中に学んだ衛生の大切さをしっかり実践し、家のトイレに手洗い用のバケツを置いていました」と大津医師は住民の高い意識変化に触れる一方、「衛生管理がされていないトイレと、生活用水に使っている井戸が隣り合っていたりするのが現状です」と衛生環境の劣悪さを語ります。

村でのコレラや衛生状態に関する調査活動も大切な任務 ©Finish RC

村でのコレラや衛生状態に関する調査活動も大切な任務 ©Finish RC

「私が活動したシエラレオネの農村部は治安も悪くなく、人びとも誠実で、なんとか自分たちの健康を守ろうと考えています。子どもたちも同様で、3歳の子が点滴の針にじっと耐える様子は胸を打たれました。」

人びとの健康への高い意識を確認した大津医師は、今後は感染症予防に焦点を当て、保健分野で息の長い支援が必要だと訴えます。

日赤から新たに医療スタッフ1人を6カ月間派遣

今回のコレラ流行を受け、国際赤十字・赤新月社連盟は、シエラレオネにおける今後のコレラ発生予防を目的に、同国での中長期的な救援活動を継続します。

日赤は、コレラ救援の保健衛生活動にかかわる要員として、日赤和歌山医療センターの吉田千有紀 看護部第三外来看護師長を、9月26日から約6カ月間の予定で現地へ派遣しました。

海外救援金 ~ご協力のお願い~

シエラレオネにおけるコレラ救援活動に役立てるため、皆さまからの救援金を受け付けています。温かいご支援をお願いいたします。

郵便振替

救援金窓口 郵便局・ゆうちょ銀行
口座番号 00110-2-5606
口座名義 日本赤十字社
受付期間 平成24年8月27日(月)~ 平成24年11月30日(金)

※振替用紙の通信欄に「シエラレオネ救援」と明記してください。

※窓口でのお振込みの場合、手数料はかかりません(ATMの場合、手数料がかかることがあります)。

※受領証をご希望の場合は、振替用紙の通信欄に「受領証希望」と明記のうえ、お名前、ご住所、お電話番号を記載してください。

担当窓口

日本赤十字社 組織推進部 海外救援金担当

TEL:03-3437-7081 FAX:03-3432-5507

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