香港のボランティアと人道に関する研修を受講

平成28年8月4日から9日まで、首都圏近郊の大学に通う赤十字ユースボランティア※7人が香港を訪問。中国紅十字会香港支部(以下、香港支部)のユースボランティアと一緒に人道に関する研修を受講しました。

香港支部は、ボランティア活動や活動を行うにあたって必要な研修を通じて"人道"を習得する「人道学院プロジェクト」を昨年度から立ち上げ、今後、日赤のユースボランティアと同じテーマでボランティア活動を行う予定です。同プロジェクトに参加する香港支部のユースボランティアが基本理念となる人道を理解するために開発した研修に日赤のユースボランティアも参加し、3日間のプログラムを受けました。

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容疑者(右)と看守(左)に扮したユースボランティア

最初に国際赤十字が開発した赤十字7原則に関する研修プログラムの一つである"Let it go"(私を解放して!)を体験。本プログラムは、容疑者と看守に分かれ、それぞれの立場から自身の考えを伝えるコミュニケーションスキルを学ぶとともに、パワーバランスの変化について体得するもの。ある容疑をかけられて留置所に入れられた容疑者役のボランティアは自身の考えを様々な方法で看守役のボランティアに伝達。看守役のボランティアは、一般的な規範に従いつつ、容疑者が説明することに納得ができれば、容疑者を留置所から解放することができます。最初のセッションでは容疑者役のボランティア3人のうち1人のみが解放されましたが、セッション後に行われた振り返りを終えた後に行った2回目のセッションでは3人全員が解放されました。

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香港支部の事業について説明を受けるユースボランティア

次に国際赤十字・赤新月運動の役割を理解することを目的とした人道学習プログラムを受講。赤十字国際委員会の役割を理解するために用意されたケーススタディでは、自身が政府と反政府側の仲介役である同委員会の職員に扮して、反政府側とされる人物との交渉に挑戦しました。現実と見間違うようなシリアスな演技に圧倒されながら、一般市民を誘拐した反政府側の人物に対して、反政府側に至った背景について言葉を選びながら交渉を試みました。

最後に赤十字七原則に違反した状況について即興の芝居で表現するプログラムを受けました。言葉の意味は何となく理解していた日赤ユースボランティアも実際にそのシナリオを作る過程で七原則の意義や違反した場合に起こりうるリスクについて議論。言葉ではない形で七原則を表現することでたくさんの気づきを得ることができました。

同プログラムに参加した上智大学3年生の金森早紀さんは、「今回のスタディツアーで初めて"赤十字"というものに深く触れ、学ぶことができました。一番の収穫は赤十字七原則について自分で考え、表現することにより、理解が深まり、実生活でも考える機会ができたこと。学んだことを今後の活動に活かせるように、フィードバックしていきたい」と語りました。

※ユースボランティア:30歳以下のボランティアのこと。世界には、約850万人の赤十字ユースボランティアが存在しています。