東ティモールに救急法の指導員を派遣しました

東ティモール赤十字社

東ティモール赤十字社

日本赤十字社(日赤)は、カンボジア・ミャンマー・東ティモール赤十字社が実施する救急法普及事業を支援しています。カンボジア・ミャンマーへの支援は2008年から開始しましたが、東ティモール赤十字社への支援はそれに先立つ2004年からスタートし、財政的な支援と並行して技術面の支援として、これまでに5名の救急法指導員をアドバイザーとして現地に派遣してきました。

今年度は8月にカンボジア、10月に東ティモールへ救急法指導員を派遣し、年明けの2月にはミャンマーへの派遣を予定しています。(8月のカンボジアへの派遣についてはこちらをご覧ください。)

■東京都支部の救急法指導員を派遣

10月に実施された東ティモールへの派遣は、東ティモール赤十字社が10月16~18日に開催した現地指導員を対象とする研修にあわせて行われました。派遣されたのは、日本赤十字社東京都支部に所属する2名の救急法指導員です(東京都支部総務課 総務係長 堀内英明氏、同支部ボランティア指導員 押木裕哉氏。東ティモールへのボランティアの派遣は今回が初めて。)

訪問先の村にて。

訪問先の村にて。受講証を掲げる村人たち

また、研修会への参加以外にも、首都の所在するディリ県に隣接するリキサ県の村を訪問し、実際に東ティモール赤十字社の救急法講習を受けた村人たちへのインタビューなどを行い、地方における救急法普及の実情を確認してきました。

■東ティモールにおける救急法普及事業

2002年にインドネシアからの独立を果たした東ティモールでは、医療インフラの整備が十分でなく、救急医療システムも確立されていません。その一方で交通量の増加により交通事故件数は増加を続けており、毎年の雨季に発生する洪水などの自然災害も頻発しています。

このような、応急手当のニーズが高い状況において、東ティモール赤十字社は2004年から救急法の普及を開始しました。

心臓マッサージ(胸骨圧迫)の練習で穴のあいてしまった人形

心臓マッサージ(胸骨圧迫)の練習で穴のあいてしまった人形

■救急法指導員研修とは

東ティモール赤十字社が普及する救急法の担い手の多くは、国内の各地域に暮らすボランティアの指導員です。今回の研修は、講習で伝えるべき内容の確認や指導員の技術向上を目的として首都ディリで開催され、東ティモール全土から約40名が集まりました。

研修は指導員たち自身が主体となって進められ、日赤の指導員は必要に応じて適宜、アドバイスや応急手当の実技指導を行いました。

■派遣者の声

東京都支部 ボランティア指導員 押木裕哉氏
「今回、東ティモールに行かせていただきましたが、インドネシアから独立してちょうど10年を迎える年で、国民1人1人が自分の力で復興・成長しようとする姿勢が色々なところで見られました。

包帯(三角巾)による骨折の手当方法を実演する押木指導員

包帯(三角巾)による骨折の手当方法を実演する押木指導員

東ティモールにおいては、「自助」・「共助」・「公助」の中で「公助」が十分には機能していないので、今回の指導員研修でも「共助」に重点を置いて取り組んでいました。

参加者の中には片道3時間以上掛かる村や近隣の島から参加している人もおり、とても熱心に技術を習得しようとしていました。私が伝えられたことは、ほんの少しだけかもしれませんが、彼らが一生懸命に救急法の知識や技術を広め、未来の東ティモールへと繋げてくれると信じています。まだまだやることは多いですが、私も出来る事で引き続き協力していきたいと思っています。」

東京都支部 総務課 総務係長 堀内英明氏
「ティモール赤十字社のスタッフは、気さくで親しみやすい人たちが多く、必要以上に緊張せず助かりました。また、現地指導員は我々の実技指導を真剣な様子で見て、積極的に質問もあり、知らない技術を指導に取り入れるかどうか検討する姿勢がありました。

圧迫による止血の方法を指導する堀内指導員

圧迫による止血の方法を指導する堀内指導員

他方、彼らの実技指導を見て、傷病者の身体に触れて詳しく状態を観察するなど、日本ではそこまではしない(教えない)ことを知識と技術として有しているのには驚きました。日本との医療・救急体制の違いから来るものかと思います。さらなる救急法の普及には、歴史的な経緯から年代や各地方で言語が異なるなどの困難はありますが、実際に講習を受けたリキサ県の村人に話を聞いたところ、彼らには救急法の必要性や重要性が伝わっていたようです。」

■引き続き皆さまのあたたかい支援が必要です

海外の救急法普及支援事業は、全国の社員・寄付者の皆さまによって支えられています。

特に、財政基盤の不安定な東ティモール赤十字社の救急法普及事業は、引き続き支援を必要としていますので、ぜひ、皆さまのご協力をお願いします。

開発途上国への長期的な支援などを目的として、日本赤十字社が毎年NHKと共同で実施している「海外たすけあい」募金キャンペーンについてはこちらをご覧ください。

お互い熱心にけがの手当の練習をする東ティモール赤十字社の指導員たち

大正2(1913)年に創立された上智大学は昨年100周年を迎えました。キリスト教ヒューマニズムに基づき、「他者のために、他者とともに」を教育精神に掲げた人材育成を行っています。一方、赤十字も昨年で創立から150年が経過(※)、今回の共同宣言は両者の周年を記念したものです。

共同宣言の調印に臨んだ同大の滝澤正学長は「日赤と本学とは、『他者への奉仕』という共通のミッションを持っています。本日の宣言は、本学のボランティア活動の充実・発展に大きく寄与するもの。ともに行動することで、これからの日本、世界を担う若者を育てていきたい」と決意を表明。日赤の近衞忠煇社長は「ボランティア精神に基づく人道活動という原点に立ち返ることが(赤十字にとって)大切。そのためには若い人の意見や考えを積極的に取り入れていく仕組みが必要で、上智大学との協定は心強い」とパートナーシップへの期待を寄せました。

日赤が大学と結ぶ協定としては、明治学院大学との共同宣言(平成25年4月)に続きます。今後の具体的な取り組みとしては、上智大学が取り組むボランティア活動への青年赤十字奉仕団の参加や協力、災害発生時の協力体制の構築などについても検討していく予定です。

※赤十字国際委員会(ICRC)の前身である「5人委員会」が1863年に設立