東ティモール救急法普及支援事業(大阪府:田中麻紀)

アジア・大洋州地域の姉妹赤十字・赤新月社が実施する救急法等の普及支援事業の一環として、日本赤十字社(以下、日赤)は、東ティモール赤十字社(以下、東ティモール赤)が行う救急法の普及事業を、2004年から継続して支援しています。

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AEDの使用方法を東ティモールの方に披露する田中指導員

東ティモールは2002年に独立。しばらくの間不安定だった情勢が落ち着きをみせ、近年は交通量の増加に伴い交通事故が増加していることが新たな課題の一つです。

経済が発展してきているとはいえ、まだまだ悪い道路事情。日本のように救急車を呼べばすぐに、手当てなどが必要な人びとが医療処置を受けられる環境ではありません。

東ティモール赤は救急法の普及を重要事項と考え、事業を推進しています。

日赤から通算10回目の東ティモールへの派遣は、首都ディリで行われた救急法の指導員養成講習に参加するためでした。救急法の技術指導員として今回派遣された、大阪府支部所属の田中麻紀救急法指導員にインタビューしました。

東ティモールの印象はどうでしたか?

東ティモールは、日本での日常生活から離れてみると非常にシンプルな生活をしている素朴な国という印象を受けました。一方で、建物にそぐわないパラボラアンテナが立っていて、携帯電話も多くの方が持っています。新しいものをどんどん取り入れる柔軟さがあり、国民の誰もが「もっと国を良くしたい」と求めているように感じました。

また、医療体制がまだ整っておらず、交通機関が十分発達していない状況では、身近なもので代用できる応急手当の方法を少しでも多くの方々が知っていることが、一般の医療機関サービスの普及よりも先に求められているように思いました。

実際に講習に参加してどうでしたか?

今回は救急法の指導員養成講習に参加しました。お互いに言語の壁はありましたが、通訳の方がいたおかげで、十分に意思疎通を図れたと思います。

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三角巾の使用方法を披露する田中指導員

講習では、例えば、地域に対する指導方法や軍隊に対する指導方法というように、状況に応じた指導方法の展開の講義やリラックスした講義の雰囲気づくりの指導などが、とても興味深かったです。

そのほか、講習内容は実際の状況に沿ったもの。

例えば、手足の切断や交通事故による頸椎(けいつい)損傷の疑いがある場合などで、日本の状況と異なる社会での応急手当の方法に違いを感じることもありました。

しかし、基本的な技術や手当ての方法などは赤十字の教本に準じていて、指導方法に大きな違いを感じることはありませんでした。また、指導員の技術も高いものであると感じました。

今後この事業の発展をどのように期待していますか?

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AEDの使用方法を東ティモールの方に説明する田中指導員(写真右)

東ティモール赤は、AED(自動体外式除細動器)などの機材導入を希望しています。

一方で、国内でまだAEDが普及していない状況を考えると、トレーニングの必要性をあまり感じられませんでした。

しかし、東ティモール赤は、できるだけ多くの新しい知識や技術、情報を入手すべきだと考えているようです。

それは、より多くの選択肢から必要なものを抽出できるようにするためであり、経済発展が進むなかで、できるだけ早く自立するための意欲でもあるようにも思えました。

このような意欲は、より高度な知識や技術を得ることで、他国に劣らぬ講習プログラムを構築することを目標としているように見えました。

AEDのように現状に合致しない場合でも、日本で培った知識や技術を省略することなく伝えていくことは、モチベーションを維持することにつながり、今後の東ティモール赤の発展に貢献できるのではないかと思いました。

最後に社員・寄付者の皆さまに伝えたいことはありますか?

東ティモール赤では、指導員や受講生の救急法に対する真摯(しんし)な姿勢を感じることができました。しかし、現状では経済的な理由から、救急法担当者の人材や救急法講習資材などに限りがあります。

派遣をとおして非常に良い経験ができました。私自身も東ティモールで講習のあり方について勉強になることがたくさんあり、今後のボランティア活動に活かしたいと思っています。また、今回訪問したことで、東ティモールと日本の関係が一層深まり、救急法普及事業に貢献できていればと思います。

今後も経済発展が進み、環境が大きく変わっていくであろう現地への支援が継続され、東ティモール赤のスタッフが新しい知識や技術をどんどん吸収できればと願っています。

東ティモール救急法普及支援事業を含む赤十字の活動は、多くの赤十字社員の皆さま、寄付者の皆さまの善意によって支えられています。赤十字社員へのご参加についてはこちらを、赤十字へのご寄付についてはこちらを、ぜひご覧ください。