スリランカ水上安全法普及支援事業 (千葉県:青木英憲)

ミッションに参加した青木主事(右端)と千葉県支部津田企画広報係長(左端)

ミッションに参加した青木主事(右端)
と千葉県支部 津田企画広報係長(左端)

日本赤十字社では、2004年に発生したスマトラ沖地震・津波災害に対する復興支援事業の一環として、スリランカ赤十字社が行う水上安全法普及支援事業を2006年から2008年までの3年間にわたって支援してきました。
スリランカでは津波の被害によって3万1千人が死亡し、50万人近い国内避難民が発生しましたが、同国では一般的に水泳の習慣がなく、学校教育においても水泳指導が行われていないため、平時においても海岸や河川での水の事故に対する事故防止や監視・救助の体制がありませんでした。
事業実施中の3年間に延べ17名の指導スタッフが、日本赤十字社からスリランカ中西部のガンパハ県に派遣され、現地のスリランカ赤十字社の支部において、水上安全法指導員の養成と技術指導にあたっています。
2009年10月に、事業完了後の評価のために現地に派遣された千葉県支部救護福祉課 青木英憲主事にインタビューしました。

どんなことを期待していかれましたか?その期待は成果として現れましたか?

支援してきたガンパハ支部が、自分達の力で、地域住民に対して水上安全法の普及活動を始めていることを期待していました。
成果は期待をはるかに上回るもので、自分達の管轄だけでなく、近隣他県にも出張して講習会を開催するほどになっていました。
また、講習のプログラム以外でも救助用のボート技術の研鑽も続けていました。
週末にはガンパハ支部のボランティアが海岸をパトロールし、これまでに180名を超える命を救ったことを聞き、大変感動しました。

スリランカの人たちの反応はどうでしたか?

想像以上に反響が大きく、赤十字関係者はもとより、スリランカの警察や軍までもがこの事業に関心を抱き、海岸に警察官を配置する等の動きも始まっています。
また、ガンパハ支部のボランティアが津波の被害が甚大だった県で講習をおこなっている様子を見てきましたが、受講者全員に熱意が感じられました。
その受講者達の中に、津波で被災し背中に大きな傷を負った少年がいました。この少年が後遺症の残る体で、人を一生懸命引っ張りながら泳いでいる姿を見て、被災者が救助者へ変わっていく様子に胸を打たれました。

現地で何か学んだこと、感じたことはありましたか?

海外の赤十字・赤新月社にも日本同様に支部が存在し、ボランティアがいます。
言葉さえ通じれば、理念は同じ赤十字。技術の伝達を始めとして、多くのことを共有できるということを肌で実感しました。
私たちは、世界規模で展開される赤十字・赤新月運動の一員です。
日本のみならず地域を越えて、世界中の赤十字・赤新月社と「もっとクロス」することが重要だと思います。

今後、この事業の発展をどのように期待していますか?

水上安全法がスリランカ赤十字社の主要事業として位置付けられ、スリランカ全土で、水の事故から生命を守る知識と技術を普及してほしいと思っています。

最後に、社員・寄付者の皆さまに伝えたいことはありますか?

3年前は泳げなかった人も、今では講習で救助を教える指導員となっています。
そして、指導員が伝えた技術は受講者へと引き継がれ、事故が起きたときにその力を発揮しています。
皆さまからいただいた資金により、実際に多くの命が救われています。
お金で命は買えないけれど、お金で救える命はたくさんあります。
現地の方々も大変感謝しておりました。本事業の成功は、皆さまのおかげです。
本当にありがとうございました。