台風26号がもたらした大雨~過去の経験から助かった命

台風当日の水位を手で示す澤田吉雄さん(左)と大輝さん(右)

台風当日の水位を手で示す澤田吉雄さん(写真左)と大輝さん(同右)

台風26号でもたらされた大雨によって大島町元町神達地区を中心に大きな被害が発生しました。

今回、元町在住の澤田吉雄さん(74歳)、大輝さん(16歳)ご家族にお話を伺うことができました。

台風が襲来した日の夜は一階の平屋で休んでいた大輝さん。午前1時半ごろに目が覚めたときは、足首が水につかっていたそうです。

「最初はどうしたらいいのか分からなかったのですが、祖父から『窓を開けず、外にも一切出るな。家の中でじっとして耐え、大きな柱にしがみつけ』と連絡が入ったので、午前3~6時までは、その言葉どおり大黒柱にしがみつき、結果、助かりました。その間ずっと、祖父や母と携帯電話で連絡を取り合っていました」

家の中は土砂が入り込み、掻き出し作業に追われている

家の中は土砂が入り込み、かき出し作業に追われています

その後、午前6時過ぎに水が引いて、祖父の吉雄さんが迎えに来たので、窓から家の外に出たとのこと。「柱にしがみついた3時間はもしかしたら死んでしまうかもしれない、と思いました。とても怖かったです」

現在、大輝さんはボランティアとともに家の中に入ってきた土砂を掻き出しています。「これまでは将来、漠然と公務員になりたいと思っていましたが、今回の体験を機に人を助ける仕事に就きたいと思っています」と語りました。

大輝さんの祖父・吉雄さんは、1958年(昭和33)年の狩野川台風を経験しています。

「今回の台風26号は狩野川台風災害と同じ状況でした。娘(大輝さんの母)から『大輝が危ない』と連絡があったので、大輝には『家がつぶれるまで外に出るな』と伝えました。今回の台風はどんどん水かさが増して、大きな音とともに、木や土砂が家の中に押し寄せてきました」と当時の様子を振り返りました。

「少しでも元気になって再び島に帰ってきてほしい」

インタビューに応じてくれた吉岡由佳さん

インタビューに応じてくれた吉岡由佳さん

大島で育った吉岡由佳さんは、実家の民宿『離れ宿喜船』を手伝いながら、昼は大島交通のドライバーとしてバスを運転しています。

『離れ宿喜船』は、島北の大島空港に近い高台に位置しており、人気の高い隠れ宿として有名とのこと。今回被害のあった元町神逹地区は、宿から車で10分もかからない距離にあります。

台風当日の降雨量は空港が400ミリだったのに対して、同地区は800ミリを記録する超局地的な大雨だったと振り返りました。

昨日、台風27号の接近で島外へ避難する方を港まで搬送しました。その中には病気療養中の高齢者の方も。「少しでも元気になって再び島に帰ってきてほしい」と出て行く船を見送りました。