原子力災害時の救護班活動マニュアルを新たに作成

記者発表に臨む富田事業局長

記者発表に臨む富田事業局長(写真左から2人目)

日本赤十字社(以下、日赤)は将来の原子力災害に備え、救護活動中の安全を確保していくための活動指針や行動基準などを定めた「原子力災害における救護活動マニュアル」を作成。5月23日に記者発表を行いました。

発表にあたり日赤の富田博樹事業局長は、以下のように述べ、当時の反省の上に今回のマニュアルが作成された経緯を説明しました。

「これまで、原子力災害を想定した救護班の装備や安全基準を用意していなかったため、東日本大震災では福島県内での救護活動に一時的な制約が生じました。これは当時、武蔵野赤十字病院の院長として救護班を送り出す立場であった私にも大きな葛藤であり、活動指針などの必要性を痛感しました」

マニュアルは活動指針として、救護活動の実施地域を「政府などが一般の立ち入りを制限する警戒区域以外」とし、活動中の累積被ばく線量を「1ミリシーベルト(※)を超えない範囲」に設定しました。

行動基準には、以下などが定められています。

  1. 救護班に可能な限り診療放射線技師を加える
  2. 救護班要員に個人線量計や防護服セット、安定ヨウ素剤を携行させる
  3. 累積被ばく線量が1ミリシーベルトを超える恐れのある場合、班長がその要員に対して活動中止と退避を命じること

また、放射線環境下での救護活動を安全・適切に行うため、医師と診療放射線技師からなる『緊急被ばく医療アドバイザー』を被災地支部と本社の災害対策本部に配置していくことを決定。あらかじめ同アドバイザーを任命し、救護班要員を対象に安全対策の教育・研修などを実施していきます。

このほか、原子力災害発生時には、地方公共団体から『緊急被ばく医療機関』に指定されている原子力発電所近隣の赤十字病院などが、国・地方公共団体からの要請に基づき、緊急被ばく医療活動を実施していきます。

※日本における自然放射線被ばく量は年間平均1.5ミリシーベルトといわれています(原子力安全協会)