助産師をめざそう!③~日本赤十字社助産師学校~

日本赤十字社では、1921(大正10)年より助産師の養成を開始し、現在では日本赤十字社助産師学校および日本赤十字看護大学・大学院にて年間約92名の助産師を養成しています。

その中でも、年間40名の助産師を養成している日本赤十字社助産師学校について、シリーズ(全5回予定)で紹介しています。第3回目となる今回は、母親学級の様子をお届けします。

母親学級の運営を学ぶ

本校では、助産診断・技術学の中に健康教育技法(1単位30時間)の科目を設け、「母親学級(マタニティクラス)」の運営を行っています。11~12月頃の出産を予定している方を対象に参加者を募集し、出産前の9月に3回と出産後の3月に赤ちゃん連れで参加いただく同窓会の計4回を開催します。10人の学生で1グループとなり、1人ずつ30分の講義を行います。

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夏休みが明けると本番まで2週間もありません。指導案とシナリオの指導を教員から受け、リハーサルを行い、修正を繰り返します。リハーサルでは、学生同士で率直な意見を出し合い、耳を傾け・・・どの学生からも「より良いものにしていこう」という気迫が感じられます。準備の段階では意見がぶつかることもありますが、1つのものを作り上げていく過程で団結力が強まります。

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講義で使用する教材は、模造紙に絵や文字を描いたり貼ったり、手作り感たっぷりのものを作成します。いかに視覚的に訴えるかを考え、大きさや貼る位置、タイミングも工夫します。自宅に持ち帰って読み返せるようなパンフレットを準備することもあり、パンフレット作成の腕は誰もが上達していきます。この他にも、会場入口の看板、飾りつけ、当日の流れや司会進行打ち合わせなど、当日までにたくさんの準備を進めていきます。

そして本番。会場準備が整うと、自分たちが時間をかけて準備してきたマタニティクラスに参加してくださることが嬉しい半面、失敗してはいけない、しっかりやらなければいけないという緊張感が漂います。

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直前の最終リハーサルでは緊張が強く前を見ることが出来ずにいたが本番では伸び伸びと笑顔で話す学生もいれば、リハーサルでは落ち着いていたのに本番では声が震えてしまう学生もおり、本番ではいろいろなハプニングが起こりますが、何とか乗り越えて終了すると達成感でいっぱいです。

第1回、2回と回を重ねるごとに参加者とも親しく話せるようになり、緊張よりも楽しみに思う気持ちが強くなっていきます。第3回は妊娠中の最後の回ということもあり、名残惜しい気持ちで集合写真を撮り、参加してくださった方々に感謝しつつ、安産を祈願します。

出産後の3月には第4回のクラス(同窓会)があります。1月下旬に招待状を送りますが、予約制ではないため赤ちゃんと一緒に来てくれるか当日までドキドキしながら待ちます。国家試験を終えてからの約2週間で準備を進めますが、卒業間近ということもあり、手際が良くなります。

会場は、授乳コーナーを設けたり、赤ちゃんを寝かせられるスペースやベビーカー置き場を作ったりという配慮も行います。企画も安全(事故防止)や手遊び歌など赤ちゃん連れでも楽しくて役に立つものを考えます。同窓会の参加率は高く、3~4ヶ月の赤ちゃんがいるのでとてもにぎやかで、ママたちが手作りおもちゃを作成中に赤ちゃんのお世話を学生がしたり、和やかな雰囲気であっという間に時間が過ぎてしまいます。

参加者からは「お産のすごし方の講義が役に立った」「赤ちゃんの生活について聞いておいてよかった」「他の妊婦さんや学生さんとお話しできたので楽しかった」という嬉しいお言葉をたくさんいただきました。学生からも「自分たちのクラスが少しでも役に立ったのかと思うと元気が出る」「こんなにたくさん赤ちゃんと参加してくれて嬉しい」「妊婦さんが無事出産を終えて、立派に育児されている姿に感動した」という感想が聞かれ、学生は参加者へ何かを提供しているようで、実は自分たちが元気をもらっていることに気づくのです。

入学当初から卒業まで1年がかりの運営ですが、成長が感じられる講義のひとつです。

助産師2年目の卒業生からはこんな言葉を聞きました。「30分の講義を1人で受け持つ責任と緊張と達成感。学生時代の経験が今とても役に立っています。今年から母親学級を受け持たせてもらっているが、教材作りやパンフレット作りも自分で行っていて、とても楽しいです。」母親学級は参加者から好評であり、お産のときにぜひ立ち会ってもらいたいと声をかけられるとか。

「母親学級って楽しい!」と言える助産師は魅力的ですね。

以上、母親学級の様子をお伝えしました。

日本赤十字社助産師学校のHPはこちら<<http://www.med.jrc.or.jp/relation/tabid/388/Default.aspx

(日本赤十字社助産師学校)