帰りたい思いと帰れない現状~浪江町民健康調査

日本赤十字社は福島県いわき市で、福島第一原子力発電所の事故によって避難している浪江町民の健康調査と健康支援活動を続けています。

水戸赤十字病院(茨城県水戸市)の志賀久美子看護師長が74日~85日、活動に取り組みました。以下は志賀看護師長から寄せられた活動報告です。

新たに来られた方々

なみえ保健室で開催しているママサロンやヨガなどの健康支援活動にも参加させていただきましたが、それ以外はほぼ毎日2件ずつ訪問させていただき、2642人の健康調査を行いました。

今回は4巡目ということでしたので、4巡目の方ばかりだと思っていましたが、今年いわき市に移動してきたという方も結構いらっしゃって驚きました。もう震災から5年経過しているので訪問先は固定されているのかと思っていたましたが、お話を伺うとこれまで7か所くらい転々として最近になって、いわき市転住された方も多いようです。

その中で、4年間福島県を離れて他県で生活しながらも、そこは永住の土地じゃないと福島に帰ることを目標に、定年後にやっといわき市に家を建て、さあこれからという時に、目標を達成したことで目標を失ってしまい何もする気になれず、地域にも馴染めず、うつ状態になっている方がいらっしゃいました。若い方だと子供を通して地域との繋がりもできますが、おじいちゃん、おばあちゃんは、近所の方と話す機会も無く、散歩程度はするけど、後は家から出ないという方も多いです。

また、浪江町に帰りたいけど、年寄りだけ帰っても若い人が帰りたがらない、避難解除区域だけどすぐ隣はまだ線量が高いので帰れない、家が動物などに荒らされていて住める状態ではない、など浪江町への思いは強いけど帰れないとおっしゃる方も多かったです。そうした中で浪江町にお墓参りに帰ったり、家を見るだけでもほっとすると毎週帰っている方や、畑を耕すために毎日通っている方もいらっしゃいました。

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最初は1日2件の訪問というのは少ないのではないかと思いましたが、2時間くらいお話をする方もいるので、話を途中で止めず、最後まで傾聴するには、ちょうどいいのだと思いました。最後の週に訪問したお宅は、ご高齢の方で、被災の辛い話ではなく、趣味などの他愛のない話をしました。「今日は沢山お話ができて、こんな良い日はなかった。」ととても喜んでくれて、嬉しかったです。

今回感じた様々なこと、経験したことなどを、今後の看護業務や研修に役立てていきたいと思います。