家庭訪問が心の整理の手助けに~浪江町民健康調査

日本赤十字社(以下、日赤)は福島県いわき市で、福島第一原子力発電所の事故によって避難している浪江町民の健康調査と健康支援活動を続けています。活動は10月から4年目に入りました。派遣看護師は『事前研修』に取り組み、現状について理解を深めるなど、町民の皆さんにできる限り寄り添った支援活動を行うための努力を重ねています。

日本赤十字社長崎原爆諫早病院(長崎県諫早市)の池田千絵子看護師と清水赤十字病院(北海道上川郡)の山田麻水看護師が10月5~30日、活動に取り組みました。

『思い』を吐き出して明るい表情に

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なごやかな雰囲気の中で町民の話を聞く池田看護師(写真左)

池田看護師は「調査ではなく、皆さんの支援に行く」という気持ちを常に強く持って、町民宅を訪問したと言います。町民の生活は表面上落ち着いているように見えますが、話をする中でそれぞれが、心の奥にさまざまなものを抱えていることがわかりました。

ある60代の女性は、同居する義父母との関係があまり良好ではなく、当初は表情が暗くて声のトーンも低く、とても落ち込んでいる様子でした。ところが、義父母のことも含めて避難してからのことをすべて語り終えると、その表情は見違えるほど明るくなりました。

池田看護師は「『語り』や『思い』を聞かせていただくことで、その方の心の整理を手助けできると感じました」と話します。

看護師の訪問は町民の励ましに

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話が進むと自然に笑みがこぼれる健康調査(写真左が山田看護師)

山田看護師は訪問した家庭で「北海道から参りました」と自己紹介すると、「遠くから支援に来てくださったのですね、ありがとう」と温かく受け入れてもらえました。同時に、全国の日赤看護師が訪問することが、町民の励ましになることも実感しました。

「活動に入る前は、震災から4年経っているので、皆さんが普通に、前向きに生活していると思っていました。でも、じっくりお話を伺うと、今でも悪い夢を見たり、自分を責めたりする方が多く、家族にも言えない気持ちを抱えていることが分かりました」

「看護師が支援に伺うことで、避難されている方は安心して自分の今の思いを率直に語ることできるのだと思います」と山田看護師は話しています。