寄り添い、話を聞くことの大切さ~浪江町民健康調査

日本赤十字社(以下、日赤)は福島県いわき市で、福島第一原子力発電所の事故によって避難している浪江町民の健康調査と健康支援活動を続けています。京都第一赤十字病院の河野智子看護師長が7月6日~8月7日、この活動に取り組みました。

避難生活の苦しみに共感し涙も

自ら希望して健康調査支援活動に臨んだ河野看護師は、赤十字『こころのケア』指導員であり、日ごろから話を聞くことの大切さを実感しています。今回の活動でも町民のご自宅を訪問して直接話を聞くことに努めました。

町民の皆さんは震災当日のことを、まるで映像で記録したかのように鮮明に記憶しています。震災の衝撃、原発事故発生時の困難や悔しさ、その後の避難生活の苦しさ、また多くの人たちに助けられて今日に至ったことや、人と人のつながりの大切さを知ったことなどを、話しながら涙する姿。

河野看護師はその苦しみや痛みに共感して、自らが涙したこともあります。「そのような時には、『皆さんのことを気にかけている人たちが全国にいますよ』と伝えることを強く心がけてきました」

帰還か永住か、ゆれる思い

今回の取り組みでは61人の町民に直接お話を聞きました。河野看護師はその中で、元の自宅に戻るかどうかについて、男女によって意見に違いがあることに気が付いたと言います。

男性は「先祖伝来受け継いできた土地があり、家も残っているから元の場所に戻ろう」と言う方が多いのに対し、女性は「子どもや孫たちは元の場所には戻らないから、自分たちもこちらに土地を買って住みたい。子どもたちのことを大事に考えたい」と話します。

「男性は土地や家屋に重きを置き、女性は今の生活や子どものことを大切にする傾向があるように感じました」

実情を伝えることも日赤の役割

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健康調査と支援活動に携わる日赤なみえ保健室(いわき市)のスタッフ。左から3人目が河野看護師

1カ月にわたる取り組みを振り返っていま、河野看護師は語ります。

「実際に現地に赴き、避難されている皆さんのお話を聞かないと分からない現実がありました。今回の活動を通して、震災の状況や町民の思いを広く伝えていくのが、私たち日赤の役割の一つだと確信しました」