家庭訪問で前向きな気持ちを後押し~浪江町民健康調査

日本赤十字社(以下、日赤)は福島県いわき市で、福島第一原子力発電所の事故によって避難している浪江町民の健康調査と健康支援活動を続けています。 大阪赤十字病院の直本宏看護係長と徳島赤十字病院の勝占智子看護師が5月11日~6月5日、活動に取り組みました。

話すことによって自己肯定をお手伝い

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町民と笑顔で会話する直本看護師

「調査のための家庭訪問を受け入れていただいた方がたの多くは、現在とこれからの生活にしっかり目を向けようとしています」と直本看護師は語ります。

町民は対話の中で震災当時からのことについて、「あの時はこうだった」「そうして今はこうなった」「あれはあれで仕方がなかった」など、自分たちの経験やその時の気持ち、そしてどのような選択を経て現在に至ったかについて振り返ります。

「皆さんが、話すことによって自分を客観視し、自己肯定することができてよかったと思います。私たちがお話を聞くことで、町民の前向きな気持ちを少しでも後押しすることができたのかもしれません」

一方、町内の居住制限区域に住んでいた方がたは、元の自宅にいつ帰れるかわからないという状況にいます。「『戻りたい。でも戻れるかどうか…』という不安定な気持ちを抱いていることもわかりました」と直本看護師は思いやります。

離れ離れの生活を強いられる家族

勝占智子看護師20150511-0605.JPG (2カラム画像(枠なし):322x210px)

草花に囲まれた町民宅で調査にあたる勝占看護師

勝占看護師は、ふるさとを離れて生活している町民と1カ月近く接するなかで、「生活環境や家族関係の変化を強いられていることを知ることができました」と語ります。

町民の多くは震災前、現在よりも広い庭や畑に囲まれ、当たり前のように『土とともにある生活』を送っていました。今は新しい家に住んでいても、かつてのような三世代同居の大家族ではなく、若い世代は福島県を離れ、年配の夫婦二人だけの生活となるなど、一つの家族が離れ離れの生活を強いられています。

「震災は人びとの生活を大きく変えました。復興にもまだ長い時間がかかると感じました」と勝占看護師は活動を振り返りながら、日赤の今後の取り組みに期待を込めました。