必要とされる「話を聞く」こと~浪江町民健康調査

日本赤十字社(以下、日赤)は福島県いわき市で、福島第一原子力発電所の事故によって避難している浪江町民の健康調査支援事業を続けています。那須赤十字病院(栃木県大田原市)の手塚美恵子看護師が9月16日~10月10日、調査活動に取り組みました。

悩みを抱えながらも、前向きに

手塚看護師が訪問した大半はいわき市内に家を新築し、前に進もうという印象を受ける家庭でした。「高血圧や糖尿病など慢性疾患がある方がたくさんいますが、その多くがかかりつけ医を持ってきちんと生活しています」

今回訪ねたある夫婦は震災前、浪江町で建設関連の仕事を手広く営んでいました。借地に建っている自宅は避難指示解除準備区域にあり、重機やトラックを残したまま。「どかせと言われたらどうすればいいのか。その費用などを考えると居ても立ってもいられません」と悩みを語ります。

そんな状況の中でも夫婦はしっかりと自身の健康を管理して、趣味を楽しみながら暮らしています。健康調査にもとても協力的で、「思い出の写真を見ながら『以前はこうでした』『今はこうなの』と一生懸命にお話しになる姿が、とても印象的でした」と手塚看護師。

「話せない、でも…」とつながりを求めて

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浪江町民の家庭を訪問して健康調査に当たる手塚看護師

一方、高齢者を狙った振り込め詐欺が多発していることから、電話での健康調査の際に「あなたのことを信用しない訳ではありませんが、娘に(知らない人と話すなと)言われているから話せません」という方も。

手塚看護師は電話が切られてしまうことを覚悟しました。しかし、切られることはなく、そのまま30分ほど会話が続きました。

「こうしたことを考えると、『話を聞く』という意味での日赤の調査活動は、まだまだ必要とされていると思います」

 東日本大震災から3年半。日赤は、浪江町民の皆さんに対する健康調査や健康支援活動にこれからも取り組んでいきます。