人と人とのつながりの大切さ~浪江町民健康調査第9班

借り上げ住宅を回って話しを伺う澤谷看護師

借り上げ住宅を回って話しを伺う澤谷看護師(写真上)

日本赤十字社(以下、日赤)は、福島第一原子力発電所(以下、原発)事故の影響により福島県いわき市に避難している浪江町民の健康調査を実施するため、各赤十字病院から看護師を順次派遣しています。

第9班として日赤長崎原爆病院(長崎県長崎市)の澤谷典子看護師と日赤長崎原爆諫早病院(長崎県諫早市)の吉田光浩看護師が4月11~25日、活動しました。

浪江町の皆さんは原発事故によって、わが家と地域コミュニティーを失いました。避難先を何カ所も転々としているうちに家族がバラバラになるケースも珍しくなく、やっとたどり着いたいわき市でも借り上げ住宅が分散しているために町民同士の交流は困難な状況です。

町民の様子について澤谷看護師は「普段の生活の中で私たちはあまり気が付きませんが、人にはコミュニティーが必要なのだと強く感じました」。吉田看護師は「家族のつながりや地域のつながりを失うことによる孤独感や精神的なダメージは、体にも影響を与えているようです」と心配します。

一方、後ろばかり向いていられないと、いわき市内で家を購入して住環境を整えることから始める人びともいます。「気持ちが前向きになり、帰還をめぐる思いに踏ん切りがつきました」「ため息ばかりだったのが、少しずつやる気に変わっています」という声を聞くこともできました。

「活動を広く伝えて、みんなで考えたい」

避難した町民の血圧を測定する吉田看護師

避難した町民の血圧を測定する吉田看護師(写真右)

健康調査を行いながら、人のきずなをつくることを心がけた活動。吉田看護師は取り組みを振り返りながら、こう語ります。

「浪江町の方がたの今を通して見えてくる問題は、決して浪江町だけの問題ではなく、もっと大きな問題として考える必要があると感じました。災害があったとき赤十字病院として何ができるのか。今回の貴重な体験を踏まえて看護師としての意識を高めるとともに、この活動を広く伝え、今後の課題についてみんなで考えていきたいと思います」