帰還に向けて交錯する町民の思い~浪江町民健康調査

日本赤十字社は昨年10月から、福島第一原子力発電所事故のために福島県いわき市に避難している浪江町の健康調査・相談活動を実施しています。今年3~4月にも、各赤十字病院から派遣された看護師が2人一組になって活動しました。

浪江町は4月1日から、避難区域再編に伴って立ち入り規制が一部緩和されましたが、放射線の低減状況やライフライン復旧状況などによって、実際に暮らせるようになるまでには最低でも数年はかかると見込まれています。

「浪江町に帰りたい、でも帰れない。どうするのが一番いいのでしょうか」

「いわき市に永住したい気持ちがありますが、二重ローンに苦しむことになってしまいます」

「借り上げ住宅がなくなったら、どうしよう」

「避難解除されても、自宅はネズミのふんでぐちゃぐちゃで…」

町民の皆さんは町への帰還をめぐって、さまざまな不安を抱えています。

転々と避難を繰り返すうちに家族が分散したり親族を亡くされたりした方、不慣れな土地での孤独感から精神的に追い詰められている方も少なくありません。

会話によって町民のストレスを軽減

血圧測定を行っている日隈看護師

血圧測定を行う日隈看護師

こうした中で、庄原赤十字病院(広島県庄原市)の廣田征子看護師は3月13~28日、第7班として町民の避難先を訪問。

孤立した状況にある町民と親身になって会話することによって、ストレス軽減と気持ちを楽にしてもらうことに努めました。

「避難されている方がたへの支援活動の機会があれば、また参加したいです」

同じく第7班で活動した広島赤十字・原爆病院(広島県広島市)日隈妙子看護師も、「復興の見通しが立っていない中で、時間だけが過ぎていく現実を多くの人に伝えていきたいと思います。これからもさまざまな人とチームを組んで、支援をしていきたい」と話しました。

中長期的な支援の必要性を痛感

山口赤十字病院(山口県山口市)の河村和子看護師と松山赤十字病院(愛媛県松山市)の山内万裕美看護師は3月27日~4月11日、第8班の活動に参加。

「慣れない土地で精神的な孤立を深めて行き場を失っている人と、何とか前向きに歩こうとしている人との間の差が広がりつつあること、中長期的な支援がますます必要になっていることを感じた」と言います。

河村看護師は「復興支援のために、自分には浪江町の現状を伝えていく役割があると思っています」、山内看護師は「中長期的に支援ができるのは赤十字の強みだと感じました」と話しました。