平均年齢91歳の元戦争捕虜が来日、元日赤看護師がサポート

米国人元戦争捕虜とその家族を招く日本政府のプログラムが10月13~21日、開かれ、元日本赤十字社和歌山医療センター(和歌山県和歌山市)の看護師で海外救援活動の経験もある松近真紀さんが、来日した一行の健康サポート要員として加わりました。

このプログラムは、民間団体の働きかけにより2010年から始まり、今回が3回目。

日本政府が戦争捕虜として多大な損害と苦痛を受けた方がたにお詫びするとともに、和解を促進し日米の相互理解を図ることを目的としています。

一行は外務大臣や内閣官房副長官への表敬訪問、大学生との交流、元捕虜収容所訪問などを行いましたが、元捕虜の方がたは平均年齢91歳と高齢であることから、松近さんが同行して24時間態勢で体調管理や介助に当たりました。

救急セットを常に携帯し、一行に同行した松近さん。朝晩に全員の部屋を訪問して健康チェックを行い、体調に応じてスケジュールの変更なども提案しました。また、一行が山口や大阪、東京、新潟に分かれて行動した時は、各地の赤十字病院の看護職員らと連携して対応しました。

その甲斐あって、誰も病気やけがをすることなく無事に全日程が終了。松近さんは「過密なスケジュールなどから非常にリスクが高いと覚悟していましたが、無事に終わってほっとしています」。

同行中は、元捕虜の方がたの体験談を聞くこともできました。

赤十字国際委員会(ICRC)から1944年のクリスマス、捕虜に対して特別な食料が配給されましたが、日本軍の監視員に略奪されることがあったといいます。

松近さんは「これまで『日本人から見た戦争』しか知らなかったので、あらためて戦争がもたらす苦しみを知りました」と振り返ります。

捕虜の待遇をめぐっては、ジュネーブ条約が細部にわたって規定しており、ICRCは同条約に基づいて紛争地域の捕虜や受刑者を見守っています。「紛争地域で赤十字の医療要員が安全に活動できるのもジュネーブ条約に保護されているおかげ」と松近さん。「今回の経験からジュネーブ条約を順守することの大切さを実感しました。過去の出来事と向き合うことが、平和な未来をつくりあげることにつながるのだと思います」と話しています。