バングラデシュ南部避難民支援

生きてほしい!

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Michael Drost-Hansen/IFRC

ミャンマーでの衝突から半年 避難民支援の現場から

国際赤十字では、政治的・民族的背景および避難されている方々の多様性に配慮し、『ロヒンギャ』という表現を使用しないこととしています。

バングラデシュ南部避難民の今

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©Antony Balmain/Australian Red Cross

2017年8月以降、ミャンマー・ラカイン州での暴力から68万以上もの人が避難しているバングラデシュ。山を切り崩した地にあるキャンプでは、竹を組み、ビニールシートをかぶせただけのテントが見渡す限り広がっています。また、避難民はバングラデシュでは働くことが認められておらず生きるために必要なものは支援に頼るしかないのです。

しかし、キャンプを覆うのは決して絶望感だけではありません。数メートルにもおよぶ竹や、料理に使うための薪、トイレを作るための石を運ぶ人などで溢れかえっており、食べ物や洋服を売っている露店、カフェ、床屋もあれば野菜などが育てられている農園までもあるのです。どんなに危機的な状況でもそれを乗り越えようとする人間の生きる力を感じずにはいられません。

これまでの活動

2017年8月25日 ミャンマー・ラカイン州での衝突

わずか1週間で7万人以上がバングラデシュに押し寄せた。

9月15日 国際赤十字が支援活動の規模を4倍にすると発表

バングラデシュには以前よりミャンマーからの避難民がおり、2017年3月に日本赤十字社は1,000万円の資金援助を実施。8月25日以降の急激な流入に対応するため、国際赤十字はそれまでの4倍にあたる総額約14.7億円規模に活動を拡大し、国際社会に支援を要請。

9月16日 日赤が先遣隊を派遣

現地状況調査・調整のため、医師、看護師、事務職員をバングラデシュに派遣。

9月22日 緊急医療チームを派遣、救援金の受付を開始

バングラデシュ赤新月社の医療活動を支援するため、医師、看護師、助産師、薬剤師、こころのケア要員、事務管理要員などを派遣し、巡回診療とこころのケアを開始。

10月23日 国際赤十字が支援活動の規模を更に3倍にすると発表

10月中旬までに避難民の数は60万人近くに達しました。増大するニーズに対応するため、これまでの3倍にあたる総額約38.7億円規模に活動を拡大し、国際社会に更なる支援を要請。

11月5日 日赤仮設診療所の建設を開始

レントゲンの撮影や小手術ができる仮設診療所の建設を開始。

12月9日 日赤仮設診療所を開院

地域では最大規模の診療所として住民の期待を背負いながら開院。

12月13日 ジフテリアの流行

2018年2月15日現在、WHOによると5,659件の感染疑いが報告され、35人が死亡した。日赤は、日本にいる数少ない専門家を派遣した。

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©IFRC/Victor Lacken

日本赤十字社の活動

平時から地域に根付いた活動を展開しているバングラデシュ赤新月社スタッフに加えて、50人の避難民ボランティアとともに避難民キャンプでの医療支援を実施しています。

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2万5000人を診療

狭いテントや不衛生な環境が風邪や下痢、皮膚の病気を引き起こしている

©IFRC/Victor Lacken

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4万人にこころのケア

キャンプでの不自由な生活や先の見えない将来は避難民のこころの大きな負担となっている

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妊婦と新生児への訪問型ケア

妊婦や子どもが歩いて診療所に到達するのは困難を極める

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衛生教育・保健指導

病気を防ぐための咳エチケットや手洗いの知識が十分に普及していない

国際赤十字はバングラデシュとミャンマー双方で支援を展開

ミャンマー・ラカイン州では今でも暴力行為の発生が報告されています。同地域には、何かしらの理由で避難できない脆弱な人々が多く残っています。移動が制限されていることや山間部などのアクセスが悪い場所に住み、学校や病院にも行けない人々に対し、赤十字は地域のボランティアの力を借りながら支援を続けています。

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© Hla Yamin Eain/ICRC

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© Hla Yamin Eain/ICRC

食料や生活用品、現金配布、こころのケアなど支援活動は多岐にわたる

50万リットル以上もの安全な水を提供するとともに衛生教育を実施

「壁」を越えて支えあう

伊勢赤十字病院 看護師長 東恵理

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ある日、診療所に来ることができない女性の夫から往診の依頼があり、彼らの住むテントを訪れました。そこには産後間もない双子の女の子がいました。それぞれ体重が1,300グラム程度しかなく低体温、栄養失調となっていました。医師がこのままでは危険であると判断し、近隣の病院への受診を勧めました。しかし、両親とも「慣習で産後1週間は子どもも母親も家の外に出てはいけない、だから行けない」と拒否されました。そのため保温と授乳指導を実施し、その後も往診を行いました。しかし、1人の児はその日の夜に、もう1人の児は数日後、往診した私たちの目の前で亡くなりました。日本では助けられる命が助けられないということに、私もチームメンバーも辛さやジレンマを感じました。悔しいと涙する者もいました。現地の文化や慣習を尊重しながら、私たちの使命をどのように果たせるかをチームで何度も考え、話し合いました。そのような中で心に残っているのは、バングラデシュ赤新月社の医療スタッフ、そして避難民ボランティアが「苦しんでいる人を救いたい」と口にしていたことです。置かれている立場はそれぞれ異なりますが、そのような共通の思いを抱きながら力を合わせて支援に取り組んでいます。苦しい時にお互いに支え合うことは、国籍や宗教などに関係なくみんな同じで、とても大切なことだと思います。

今そして今後、必要な支援

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土嚢とロープを使って、診療所の屋根を固定する避難民ボランティア

 4月頃からバングラデシュは雨が多くなる季節に入ります。そのため、現在は仮設診療所や巡回診療の拠点としているテントの補強工事に取り組んでいます。竹材やロープ、土嚢を用いて屋根や壁面をしっかりと固定し、強風を伴う豪雨にも耐えうるよう設計しています。現地で調達できる備品を活用し、また避難民のボランティアの建築ノウハウを活かしながら、どのような時も医療を提供し続けられる環境づくりを進めています。

 また、過密なテントでの暮らし、更には衛生環境が整っていないキャンプでは引き続き感染症の流行が懸念されています。
 日本赤十字社は、支援を必要とする人々がいる限り、避難民キャンプでの医療支援活動を継続します。

救援金を受付中

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 避難民を取り巻く状況は日に日に深刻化しています。ご寄付頂いた救援金は、日本赤十字社による保健医療支援に加え、避難されている方々の食料や生活必需品、安全な水などの提供などに充てられます。皆さまの温かいご支援をよろしくお願いします。

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PDF版はこちら⇒ミャンマーでの衝突から半年 避難民支援の現場から_PDF版.pdf (1.6MB) 

動画で見る活動

日赤医療チームの活動(第一班立ち上げ)

写真で見る活動

赤十字の活動(2017年12月22日更新)

赤十字の活動(2017年11月2日更新)

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国際赤十字・赤新月社連盟 ラカイン州危機人口移動オペレーションサイト(英語)

赤十字国際委員会(ICRC)ラカイン州での活動について(英語)

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人間を救うのは、人間だ。

日本赤十字社