南太平洋(2015年サイクロン「パム」)

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©Finnish Red Cross

超大型サイクロン「パム」が2015年3月、上陸したことにより、大洋州諸国が甚大な被害を受けました。

バヌアツ共和国とツバル共和国では、政府が非常事態宣言を発出しており、最も被害の大きかったバヌアツ共和国では11人が死亡、18万8000人が被災し、約2万人が家屋倒壊または半壊の被害を受けました。(2015年4月15日現在、国連調べ)。

特にバヌアツにおける被害が大きく、家屋や給水設備、生計の糧である作物への影響が深刻でした。

国際赤十字・赤新月社連盟(以下、連盟)は3月23日、大洋州でサイクロンに被災した5カ国(バヌアツ共和国、キリバス共和国、ツバル共和国、パプアニューギニア独立国、ソロモン諸島)に対して8億8110万円(6月19日改訂)に上る緊急支援要請を発出しました。

日本赤十字社(以下、日赤)は各国赤十字社とともに、南太平洋の赤十字社による救援活動を支援するため2015年3月18日~5月29日、救援金を募集しました。その結果、7511万5915円もの救援金をご支援いただくことができました(2015年7月11日現在)。皆さまのご支援について、お礼とともに以下のとおり救援内容と今後の復興計画を ご報告します。

災害の概況

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がれきの上にしゃがみこむ子どもたち ©バヌアツ赤十字社

バヌアツ共和国:

被災者 約18万8000人(総人口25万2763人)

キリバス共和国:

1500人(総人口10万2351人)

ツバル共和国:

4613人(総人口9876人)

パプアニューギニア独立国:

9199人(総人口732万1000人)

ソロモン諸島:

4万4096人(総人口56万1231人)

主な被害は、家屋の損壊や浸水、水タンクなどの破損、保健施設の倒壊、学校の倒壊、農作物への被害です。

救援活動

1. 緊急救援

最も被害の大きかったバヌアツ共和国では、サイクロン「パム」の接近に備え、バヌアツ赤十字社がサイクロン到着前から緊急対策本部を設置し、緊急時問い合わせ用のホットラインを開設、また緊急対応のボランティアを招集しました。住民にはサイクロンの到着について呼びかけを行いました。

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タンナ島に3月21日に到着した調査要員と防水シートを積み下ろす島民 ©バヌアツ赤十字社

被災直後には、各国から届けられた救援物資の配布を行いながら被害調査を実施しました。

バヌアツは83の島々から成る国で、22以上の島が被害を受けました。

離れている島へはボートで片道3日かかるため、被害状況を確認するだけでも困難を極める場面がありましたが、調査に向かうボートに、一時避難家屋(シェルター)用の防水シートを1400枚積んで行くなど、連携の取れた初動救援を行うことができました。

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一時避難家屋用の防水シートを受け取る少年 ©バヌアツ赤十字社

発災直後に必要となったのは水や家屋、食料、保健や衛生の分野での先導でした。

バヌアツ赤十字社は、30人のスタッフと200人以上のボランティアを動員し、現在も救援に当たっています。

15の島で救援物資や飲料水、家屋修繕キットの配布、一時的な給水ポンプや貯水タンクの設置、避難所の運営や、破損したトイレなどの修繕などを実施しており、防水シートや料理セット、マットレス、ポリタンク、衛生キットを含む救援物資については、2015年6月9日現在で3万人に届けることができました。

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給水ポンプに集まる子どもたち ©IFRC

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救援物資を受け取ったロザリンさん一家 ©IFRC

2. 復興支援

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救援物資に関してコミュニティーに説明する赤十字ボランティア ©IFRC

連盟は今後2年間の予定で、家屋の修繕や安全な水の入手の確保や、衛生促進などを通じて感染症を未然に防ぐと同時に、生計が回復するよう農業支援や家畜の支援を実施する予定です。

さらに、応急処置の研修やリスク分析や防災訓練を通じて、気候変動による災害に強いコミュニティーを作る長期的な復興支援を進めていく予定です。

これらの活動に対して日赤は、追加の資金支援を実施していきます。

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離島であるマキラ島に設置された給水タンクとコミュニティー災害委員長兼村の保健師のピーターさん ©IFRC

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サイクロンで多数の給水パイプが破損したため、修繕に取り組む住民と赤十字ボランティア ©IFRC

日赤の支援

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マレーシアからチャーター機でバヌアツに届いた日赤による救援物資 ©バヌアツ赤十字社

日赤は発災直後の3月17日、救援活動の調整のため、職員を1人現地に派遣。

フィジーにある国際赤十字の地域事務所やバヌアツで、最新の被災状況の把握と、救援に向けた具体的な準備を進めました。また、連盟を通じて1000万円の資金援助を実施しました。

さらに発災2週間後の3月28日、1600万円相当の物資支援として、マレーシア・クアラルンプールの倉庫に備蓄していた家屋修繕キット(工具など)2565セットと衛生キット(歯ブラシ、石けんなど)1600セットを、連盟のチャーター機で現地に届けました。

日赤は引き続き、連盟を通じて南太平洋のサイクロン被災者救援を継続します。

皆さまの温かいご支援を心から感謝いたします。