ハイチ(ハイチ大地震緊急救援・復興支援)

西半球の最貧国、ハイチの首都を大地震が直撃

2010/01/12発災

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ハイチ共和国の首都ポルトープランスから南西に25キロメートル(震源の深さ約10キロメートル)で2010年1月12日、マグニチュード7.0の大地震が発生。

約21万7300人が死亡、負傷者は約30万600人に上り、首都を中心として甚大な被害をもたらしました。

少なくとも17万5682戸の家屋が損壊。被災者は国民全体の5分の1にあたる約210万人に及び、約150万人が1555カ所もの避難キャンプでの避難を余儀なくされました。

2014年1月の時点でも、約14万6000人が依然として271カ所の避難キャンプで生活を送っています。西半球で最も貧しい国ハイチを襲った大地震は深刻なつめ跡を残し、被災者の生活再建への道のりは長期を要しています。

1. 大地震に対する日本赤十字社の緊急救援活動

避難民キャンプを視察する医療チーム

写真:避難民キャンプを視察する医療チーム

日本赤十字社(以下、日赤)は、地震発生当日に職員を現地に派遣し、被災状況の調査や支援調整を行いました。

一方、国際赤十字・赤新月社連盟(以下、連盟)の要請で、1月17日から約6カ月間にわたり、66人の医療チームと基礎保健ERU(緊急対応ユニット)を派遣しました。

医療チームの活動

災した医療施設に代わって、基礎保健ERUが傷病者の治療にあたります

被災した医療施設に代わって、基礎保健ERUが傷病者の治療にあたります

基礎保健ERUの医療チームは、震源が近く被害が最も大きかったポルトープランスレオガンで、仮設診療所と巡回診療を実施。6カ月間で約2万3000人を診療しました。

また、避難民キャンプのアセスメントや、ハイチ保健省やユニセフとともに被災者を対象に予防接種を実施したほか、診療所を訪れた人びとに衛生情報を提供し、衛生環境の整わない状況で、被災者がマラリアや下痢、皮膚疾患などにかからないように予防にも努めました。

医療チームの活動

(1)ポルトープランス:2010年1月20日~6月16日

仮設診療所と巡回診療での診察数:約1万1700人

予防接種キャンペーンでの接種数:約3万5200人

(2) レオガン:2010年2月13日 ~ 7月14日

仮設診療所での診察数:約1万1800人

2.コレラと日本赤十字社の緊急救援活動

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(2010年11月~2011年7月)

大地震からの復旧もままならない2010年10月中旬、中央部アルティボニット県でコレラの感染が発生、短期間のうちに全国にまん延していきました。

日赤は、連盟によるコレラ救援活動へ約1700万円の資金援助を行い、11月15日から約7カ月間にわたり医療チーム(のべ31人)を派遣しました。

その後爆発的な感染は収束したものの、新たな感染ケースや下痢症が報告され続けています。特に雨季には予断を許さない状態で、常に流行が懸念されています。

ハイチ保健省によると、2010年10月から2014年3月までに、ハイチ国内での感染者数は70万541人、8546人が命を落としました。

コレラに対する日本赤十字社の取り組み

コレラ感染の予防キットとして配付された浄水剤、バケツ、パンフレット

コレラ感染の予防キットとして配付された浄水剤、バケツ、パンフレット

(1)ポルトープランス刑務所での医療支援

刑務所でも受刑者がコレラに感染し死亡者が出たことから、日赤は赤十字国際委員会(以下、ICRC)の要請で、診療と治療施設の整備を行いました。

また、ICRCの医療チームに、衛生教育の必要性と診療を円滑に進めるための助言を行い、活動を引き継ぎました。

  • 活動期間:2010年11月18日~21日(4日間)
  • 診察数:94人

(2)カルフールでのコレラ対応

日赤はカナダ赤十字社と協力して、ベッド数100床規模のコレラ治療センターをカルフールに開設し治療を行いました。

一方、ハイチでは長い間コレラが発生していなかったことから、人びとのコレラに関する正しい知識と患者への対応技術を伝えることが急務となりました。そのため、ハイチ人スタッフを対象に、対応方法や感染拡大を防ぐ管理研修を提供し、退院患者やその家族には、再度の感染を防ぐために予防教育を実施しました。

  • 活動期間:2010年12月12日~2011年2月12日
  • 診察数:約1500人

(3)ポルタピマンでのコレラ対応

コレラ感染の拡大を受けて、日赤は南県ポルタピマンでも、イギリス赤十字社と協力してコレラ治療ユニット(CTU)を開設し、治療とハイチ人スタッフの育成に力を注ぎました。

また、感染者への差別や偏見が根強かったことから、正しい知識を養う普及活動も実施。そして、日赤撤退後に地域の医療機関だけで対応ができるよう、ベッド数5床の下痢疾患観察施設の建設や、早期治療が可能な地域保健施設の整備と資材補充を行い、さらなるコレラ流行に備えました。

  • 活動期間:2010年11月27日~2011年6月22日
  • 診療者数:約1100人

3. レオガンでの大地震復興支援事業

正しい手洗いの方法を学ぶ児童

写真:正しい手洗いの方法を学ぶ児童

(2010年7月~2014年12月)

震源地に近いレオガン市で行ったアセスメントでは、水質の悪化や健康被害に関する課題が浮き彫りになりました。

そこで日赤は、衛生環境と健康状態の改善を目指し、2010年7月に保健/給水・衛生に焦点を当てた復興事業を開始。

保健事業では、人ぴとの文化や習慣を尊重しつつ、適切な健康管理や衛生習慣を身につけてもらうえるよう、保健ボランティアを育成し、彼らが主体となって健康促進活動や衛生行動に取り組んでいます。地域の参加が重要な鍵です。

一方、給水・衛生事業では、給水所の建設・修繕・維持、トイレの設置にかかる衛生活動を実施しました。

保健事業の主な活動(CBHFA事業)
- Community Based Health and First Aid -

蚊帳の配付後、使用状況をスタッフが戸別訪問して確認

写真:蚊帳の配付後、使用状況をスタッフが戸別訪問して確認

  • ボランティアを対象にした母子保健や衛生、感染症、疾病予防、応急手当などの研修開催
  • 健康促進活動を担うボランティアの人材育成
  • 保健活動用教材の開発
  • ボランティアによる地域活動(戸別訪問、住民集会、医療機関への照会など)へのサポートや助言
  • 蚊帳やコンドームの配付と使用状況の確認
  • 子ども、女性、親などを対象とした保健・衛生教育の実施
  • 災害時におけるアセスメント、支援調整、救援物資の配付

給水事業の主な活動

ポンプ式給水設備の修理方法を学ぶ人びと

写真:ポンプ式給水設備の修理方法を学ぶ人びと

  • 井戸や給水所の建設:69カ所
  • 破損した給水所の修繕:45カ所
  • 既存の給水所からの延長給水所の設置:11カ所
  • 給水所の維持管理を担うグループ(水管理委員会)の組織化と育成:101水管理委員会
  • 給水所の修理技術研修:50回
  • 給水所の運営管理研修:104水管理委員会対象

衛生事業の主な活動

研修で地域の衛生問題について話し合うボランティア

写真:研修で地域の衛生問題について話し合うボランティア

  • トイレの建設:3065基
  • 手洗いスタンドの設置:3038個
  • ごみ箱の提供:3026個
  • 衛生促進ボランティア686人を育成
  • 衛生活動に関する教材開発
  • 衛生管理、排せつ処理、下痢症・マラリアなどに関する防知識の普及
  • 清掃用具の配付、地域清掃、排水溝整備へのサポート
  • 学校での衛生教育:児童約5000人を対象
  • 緊急時の感染症(コレラ)対策として、水の処理方法の普及や物資配付

4. コレラ衛生促進事業

コレラ感染の脅威に依然としてさらされているハイチ共和国。赤十字はハイチ政府、国連機関、そして、世界保健機関(WHO)と協力して、コレラの撲滅を目標とした事業を展開していきます。

日赤も専門分野である保健とレオガンでの保健、給水・衛生事業の経験を生かして、ハイチ中央県で、コレラ感染の予防を目指した衛生促進事業に取り組んでいきます。

5. 救援金の使途

救援金の使途

(2014年8月時点。予定を含む) 

ハイチの人びとのために、皆さまからお寄せいただいた約21億円の救援金を元に、日赤は緊急救援活動を実施し、保健や給水、衛生の促進に取り組んでいます。

皆さまからいただいた救援金は、以下の用途でハイチの人びとの支えになっています。

A:(大地震)基礎保健ERUの派遣: 3億4430万円
B:(大地震)国際赤十字が行う救援活動: 2000万円
C:(大地震)国際赤十字が行う仮設住宅の建設: 8786万円
D:(コレラ)基礎保健ERUの派遣: 9728万円
E:(コレラ)国際赤十字が行う救援活動: 1686万円
F:保健/給水・衛生事業: 9億8562万円
G:コレラ衛生促進事業: 1億3837万円
H:策定中のハイチ赤事業支援: 1億2252万円
I:事業実施要員の派遣: 1億4048万円
J:事業運営・管理費: 2億878万円
総額 21億6208万円

ハイチへの支援にご協力いただき、ありがとうございました。

(2014年8月更新)

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